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哀色
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いつの間にやら校長がステージ上で喋っている。
でも、みんな聞いてないのはわかってるから、ここの校長はそんな長々話したりはしない。
結構この校長は賢いと思う。
いや、何様だっていうね。

そして、なんで俺が新入生歓迎会のことやら校長のことやらを知っているのかというと、俺が一貫生だから。

幼稚園からずっとこの学園。
そろそろ飽きた。
いやだから何様だっていうね。


『校長先生ありがとうございました。さて、今から高校三年間のルームメートを探す時間です』

司会の人が前で喋り始めた。

『制限時間は一時間。その間に自分のペアを決めて前に報告しに来てください。報告し終わった人は、雑談でも食事でも好きなことをしてくれて結構です。報告がなかった人はこちらの方で勝手に決めさせてもらいます』

だったら最初っから勝手に決めてくれよ。ほんとめんどくせぇ。
まー、俺は報告行かずに勝手に割り振られる組だな。

『では、スタート…といきたいところですが、ここで特別ルールです。生徒会補佐に任命された方々は、トラブルを防ぐために優先的に相手を決めることができます。ですので、生徒会補佐は前に出てきてください』

あー、生徒会補佐って顔いいやつばっかだからね。先に決めとかないとめんどうなことになる。

ちなみに、大体の場合は生徒会補佐同士でルームメートになるらしい。
それならみんな納得するから。
下手に一般生徒選んじゃうと、真っ先に制裁の対象んなる。大変だー。

生徒会補佐がバラバラとステージ上に上がるのを、他人事のように眺める。
てか、実際他人事か。
ただ、うるさい歓声はどうにかしてほしいもんだ。
生徒会っつー名のアイドルだよな、ここまでくると。

『これで全員ですね。では、成松くんからどうぞ』

成松ってのは次期生徒会長候補。もうこの時期から会長として期待されてるすんげぇやつ。まさにカリスマ。

しかしなんだか、そのカリスマが緊張するように溜め息をふーっと吐いた。

おい、どうしたんだカリスマ。

『えー…俺がルームメートになりたいのは…』

そしてまた溜め息。

マジでどうしたカリスマ。





『上城優』






何があったカリスマ。






「え、なんか…優今呼ばれ…え?」

とりあえず落ち着け志乃。

「いや、知らな…えっ?」

その前にまず落ち着け自分。


ほぼ悲鳴に近い声が体育館内に響き渡る。
そりゃ驚きますよね。
誰だって感じですよね。

『上城優くん、前に出てきてくださーい!』

「おぉ、優、おぉ、行ってこい、おぉ?」
「おぉ、行ってきま、おぉ?」

なんかわたわたしてても意味ないから、とりあえず心を無にして前を目指す。

チラッと前を見れば成松さんこっちをガン見。
そんな見ないでー、今にも消えてなくなりそうだ。

階段登ってるあたりから、もう皆さんの視線が痛いです。

壇上に上がって、司会の人に促されるまま成松さんの側に経つ。

『上城、優くん』

成松さんが恐る恐るといった感じで俺の名前を呼んだ。

「なんでしょう」
『ひとつ、聞いて欲しいことがある』
「なんでしょう」
『なんでしょうは一旦封印してくれ』
「了解しました」
『あ、これが聞いて欲しいことじゃないからな』
「承知しました」

成松さんはまたもや溜め息。幸せ逃げまくりだな。

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あきゅろす。
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