哀色
孤独
仙道さんとの電話を切り、携帯をソファーのすぐ横のテーブルにおいた。
龍聖と関係が拗れてから、もう一ヶ月近く経った。
あの頃から体調は少しずつ悪くなってきてて、今じゃ少し歩くのですらキツい。
どうやらただの風邪じゃなかったらしい。
食欲も全然わかないけど、さすがに食べなきゃ死ぬから、最近ではパックのこんにゃくゼリーにお世話になってる。
三食こんにゃくゼリーとか、俺どんだけ売上に貢献してんだろ。
でもこんにゃくゼリーすげぇんだよ。水分摂れるし栄養(?)摂れる。
いやまぁ、カロリーオフとか書いてあるけどね。
こんなことが仙道さんにバレたら、絶対毎日来てご飯作るとか言い出すと思う。
面倒見いいから、あの人。
迷惑はかけたくなかったから見舞いは断ったけど、正直誰かと会いたかった。
学校休むようになってから、ほとんど誰とも会ってない。
最初の方こそ、クラスの人とか、部活の友達先輩が見舞いに来てくれたりしたけど、もう全部断ることにした。
だって、悪いじゃん。
何度も何度も。
だけど、本音言うと寂しい。
所詮人間は一人じゃ生きられねーんだよな。
もうすっかりベッド代わりのソファーで寝返りをうつ。
リビングのテレビでは、なんかのグルメリポートをやってる。
一人、こうやって得体の知れない病気に恐怖を抱くようになってから、無音が、暗闇が、怖くなった。だから、テレビと電気は一日中付けっぱなし。
いい加減病院に行った方がいいことはわかってる。
でもやっぱ、怖いじゃん。
もしも、命にかかわるような病気だったら、俺はたぶんそれに向き合えない。
望みもないのに、頑張って闘病するなんて、無理。
だから、こうやってこんにゃくゼリー食いながら、ある時ふっと治ればいいなぁなんて余計に望みの薄いこと考えてる。
もうここまで来ちゃうとなんかのギャグかよって感じ。
龍聖、今仕事中かなぁ。
会いたい、なんて言っても、無理だろね。
だって向こうは、もう冷めてんだから。
すっかり色褪せた景色の中を一人沈んでく
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