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逆転のち逆転
【T】葛藤中
それからというもの、俺は秋一からのなんの遠慮もないアタックに本気で頭を悩ませていた。

なに、なんなのあいつ。
俺振ったじゃん思いっきり。
一応失恋に入るんじゃないのか。
ダメージ物ともしてない怖い。

俺は一体どう対応したらいいのか……。
もう俺の手には負えない……。

無駄に触ってくるし。
昼飯一緒に食おうとか言ってくるし。
食べ掛けのパン寄越せとか言ってくるし。
一緒に帰ろうとか言ってくるし。

おまけに、



「俊希さん、今日俺の家寄って行きませんか」

これだ。

土曜日の午後、部活終わりの帰り道で投げ掛けられた。
すごく突然。

「はぁ?絶対寄らねぇ」

鉄の意志。
頑張った俺。

好きなやつの家に誘われて、行きたくないわけがない。
わけがないんだけど、部屋で二人になった瞬間何をするかわからない。

「いいじゃないですか」

よくないよくない。

お前のためを思って断ってるんだから。
察しろよ。

俺は何があっても行かないからな。

「アイスあげます」

…………………………。

何が、あっても………………、アイス……………。

「………寄る」

今めちゃくちゃアイス食べたかったの、俺。







秋一のベッドに腰かけてアイスをペロペロ舐める。

平常心、平常心。
ひたすら無心でアイス食べて即帰ろう。

おいこっちをそんなに見るな。
お前もアイス食べろよ。
なんで何もせず俺を見つめてるんだよ。
ばかなのか。

秋一は床に座って、何が楽しいのかさっきから身動きもせず俺を見てる。
やーめーろー。

「ん、はずれか」

食べ終わったアイスの棒を見て、思わず呟く。
まぁこういうのは滅多に当たらねーしなぁ。

棒をベッドの脇にあるゴミ箱に捨ててから腰を上げた。

「よし、じゃあ俺帰る」

「いやいやいや!」

今まで大人しく座っていた秋一が、慌てたように立ち上がる。
そして、俺の進路をふさいだ。

おいおい勘弁してくれ。
俺はアイスを食べるためにここに来たんだ。
アイスを食べ終わったらもう用はない。

「どけよ」

「俊希さん、」

秋一にガバッと抱き締められた。
息が詰まる。

「おまっ、何すんだっ!」

「もう俺、我慢できません」

秋一が俺の耳元に顔を寄せ、そっと囁く。


「気持ちよくしてあげますよ…」


「っ、」


次の瞬間、俺は秋一をベッドに押し倒していた。

我慢できねーのはこっちなんだよ!!
はぁぁぁぁぁせっかく頑張って耐えてたのにさぁ!!

秋一の上に乗り上げて、声を絞り出す。

「誘ったのは、お前だからな、」

俺の下で秋一がめちゃくちゃキョドってる。
だから、なんで自分から誘っといてそんなキョドるんだよお前は。

「俊希さん、待ってくださ、んっ、」

まだ何か言ってる秋一の首筋に顔を近づけ、ペロリと舐めた。













今度こそ最後にしよう

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あきゅろす。
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