逆転のち逆転
【S】告白(3)
とりあえず、両思いなのは確定した。
つまり俊希さんは俺からのプロポーズの言葉を健気に待ち続けていたってことか。
なんてかわいいんだ。
よし、そうとわかれば即行動。
「俊希さん、俺と付き合ってください」
「………それは無理」
フラれた。
「……なんで?」
お互い好きなのに、どうして付き合ってくれないんだ?
絶対頷いてくれると思った。
俊希さんは躊躇いがちに口を開いた。
「……もし付き合ってるのバレて、俺が引かれるのは別にいいけど……お前がいじめの対象になるのだけは嫌だ」
「……もしかして、だからずっとツンデレ装ってたんですか」
「どこの誰だそれは」
わざと、俺が俊希さんを嫌いになるように、冷たくしてたんだ。
でも優しい俊希さんはどうも中途半端で、結局ツンデレになってしまったということだな。
それもこれも俺のため、だったのか。
嬉しすぎる。
「いいんです、俊希さん。俺、俊希さんさえいてくれれば、いいです」
「いや、俺はよくないし」
「それに俊希さん、前、好きな男に告白してたじゃないですか。なんで俺はダメなんですか」
「………俺、あの頃からお前のこと好きだったんだけど」
「………え?」
「でも、お前に引かれるの嫌で……お前に似たやつに告白してた。顔が似てるやつとか、性格似てるやつとか」
そうだったのか。
そこまでは知らなかった。
「でも、普通に引かれて、キモいとか言われて、お前に告白してもこんなこと言われんのかなとか思ったら、泣けてきて…」
「…………………」
「あの時慰めたりするから、とめられなくなって、もう、バカ、お前のせいだっ、」
目の前の俊希さんをそっと抱き締める。
「っ、」
「俊希さん、すごく可愛い。そんなこと思ってくれてたんですね」
ギューっと力をこめる。
「何も心配しなくていいです。それはあくまで俺に似たやつの話でしょ?俺は俺だ。引いたりなんかしません。もしバレるのが嫌だったら、こっそり付き合えばいい。だから俺と付き合って――」
押し倒された。
なぜ。
毎回毎回人が一生懸命語ってる間に押し倒すなんて、卑怯だ。
「秋一、俺と付き合ってくれる?」
「よろこんで」
俊希さんは、卑怯だ。
やっとこぎつけた契約
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