[携帯モード] [URL送信]

逆転のち逆転
【S】告白(1)
冬も近くなってきたある日。

「今日の部活はこれで終わります。あざっした!」

「「あざっした!」」

終わった終わったと部室に戻ろうとしたとき、後ろから声をかけられる。

「秋一、今日自主練してかねぇ?」

同学年の部員だった。

「……いいよ」

今週は俊希さん週間ではないため、こいつと帰らなければ一人になってしまう。
別に俺はいいけどこいつは寂しがりだからあまりよくないはず。

俊希さんはそのまま帰るようだった。










結局他にも自主練組が2人。
どちらも同学年で、別に俺先に帰っててもよかったな。

終わったのは午後6時を過ぎたころだった。

この時期のこの時間のグランドは、寒い。

ふるりと体を震わせてから、部室の中に入る。

「ごめんな秋一、付き合わせて」

「いや、大丈夫」

着替えている最中、俺の目はひとつの鞄を捉えた。

これ、俊希さんの、だよな。

まだ残ってるのか?

それならどこにいる。

他のやつらが着替え終わったのを見計らって、声をかけた。

「悪い、先帰ってて」

「え?」

「まだ俊希さんの鞄あるから、帰ってないと思うんだけど……探してみる」
「え、それなら俺も手伝うわ」
「それは困る」
「……ああそう」
微妙な顔をされた。

「んじゃ、帰ってるぞ。鍵よろしくな」

「ああ、じゃあな」

手を振って部室を出ていった3人を見送って、たっぷり10数えてから部室を出た。


[*前へ][次へ♯]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!