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参雷*参

白い体躯が なにをするっ!! と、飛び起きるより早く、その首根っこを昌浩が掴んで目線の高さに引き上げた。

「あのなぁ、俺は仕事してんの!もっくんみたいに遊んでないからずっと陰陽寮にいるわけじゃないんだよ!」
「おまっ…。心配してやった奴に対してその態度…ぉわっ!?」

言い終わるか否かの間に ぽいっ と再び簾子に放り出された。

「すいません、俺はもう戻らないと。お話はまた今度」

たまには甥っ子達にも顔を見せたいですし、と付け加えてから会釈をし陰陽寮の方へ足を向けた。
一度だけ振り返って ほら、もっくん行くよー。と片手を振る。

「くそぅ。あいつめ」

頭を撫でて後ろ足二本で立ち上がった物の怪が、成親に向き直った

「話中だったのか。悪かったな?」
「いや、ちょっと昌浩の元気がないようだったから声を掛けてみたんだがな」
「なんだ?なにかあったのか?」

眉をしかめて言い募る物の怪を片手を上げて止めた。

「いや、俺は何も聞いてない。あるいは、騰蛇なら…」
「もぉっくんっ!!」
どうやらわざわざ足を止めて待っていたらしい昌浩が、苛立ちを含んだ声で少しはなれた場所から呼んでいる。人目のある場所なら直接捕まえに来ただろうが、今はたまたま人が出払っていたので、昌浩は声をかけた場所でこちらをむいたまま待っている。

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