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桃の節句と藤の花*四

藤原のあの庭でとなると盛大に開かれたのだろう

「今年は皆忙しそうだから、人形だけ作ろうと思うの。露木様も手伝って下さるって」
嬉しそうに言うがやはり年に1度のこと。

「そんな事言わずに、ここにいる、まだ半人前だが将来きっと多分立派な陰陽師に成るであろう昌浩に任せとけ」

「え?」

「物の怪もっくんが言う事は気に入らないけど…。彰子、折角の桃の節句だから…おれでよければ、やらせてもらえないかな」

思ってもみなかった昌浩の申し出に先刻以上に嬉しそうな顔で昌浩の前に座ると膝を向き合わせた

「有難う。約束、ね?」

「うん。約束」

そう言って小指を立て指切りをする。




「時に晴明、今年は藤の花の節句はどうする?」

「なぁに、心配いらんだろう。昌浩がおるからの」

「あぁ…」

最初からそのつもりであんな式を飛ばしたのか。
節句の儀をやった事のない昌浩も一応晴明に一通りのやり方等は教えこまれてるし 仕事とあれば下調べも欠かさない。
滞りなく進められるだろう。
「むしろ彰子様もそちらの方が喜ばれると思うての」

そう言い笑う主に二人の神将は何も言えず、そうとは知らない昌浩が夕方には早々に仕事を終わらせ屋敷に帰ったのは言うまでも無い



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