REBORN
お菓子ちょーだい(フラベル)
“お菓子をくれないとイタズラするぞ”
常夜の闇に何かを求め迷い込んでくる―・・・
「つまんねーな」
自室に戻ったベルはベットに倒れこみ、そうつぶやく。でも、糸のように細い綺麗な金髪で顔半分隠れているが、表情はなぜか穏やかだった。
「フランいじめるのも飽きたしな、ししし」
ふとベルは部屋にあるカレンダーに目が入った。そして再び、不気味な笑い声を部屋にこだました。
―数分後―
「ベル先輩の傷消えないスよー」
溜め息混じりに自室に戻ったフランが言う。フランの体には無数の傷があり、服から所々見える白い肌に痛々しい傷跡、傷が目立った。
「ベル先輩に誰か“優しさ”を教えてくださいー」
フランが愚痴ったその時だった。
「誰が優しさを教われだって?、フラン」
「わぁ」
いきなり部屋のドアが勢いよく開かれ、しかもそこに立った今愚痴ってた人、ベルが現れ驚きの声を出さずにいられなかった。
そしてむぅとむくれた顔をして、
「センパーイ、人の部屋に入るときはノックをしてくださーい。それ社会としてのルールですよー。常識ですよー」
と言った。
「うるせーよ」
この一言でフランは足蹴りをされる破目になる。
「痛っ。センパイ暴力反対ー!」
今度は無言で再びベルは蹴った。
「先輩、やめてくださーい。これ以上ミーの体に傷をつけないでください」
「何女みたいなセリフ言ってるんだよ」
ベルはナイフを取りだし、フランのカエルをめがけてナイフが放出された。見事に命中する。フランは真顔のままオーバーリアクションをとってみせた。だがそれにはベルはスルーで一言。たった一言言って帰ってしまった。
「フラン明日ハロウィンやろーぜ」
フランは一瞬何のことか分からなかった。だがすぐに気づいた。明日は10月31日。ハロウィンの日か。と心中興味なさそうにつぶやいた。
「先輩、ハロウィンするって一言言われても具体的に何をするのか分かりません。つーかそもそも、こんな被り物(カエル)かぶっている時点で毎日ハロウィンをやっているようなもんなんですケド。」
てか、このカエル意外と重いし、かっこ悪りぃーし、被りたくないですー。って何度言ってやろうかと思ったことやら。けど、時々見せる寂しそうな横顔を見せるベル先輩にとてつもなくそんなことを言えない。
まっ、そんなことはいっかなんて思って無理矢理開き直った。だってこのカエル、ミーの前任の代わりなんだから。
「ハロウィンて“お菓子をくれないとイタズラするぞ”なんて言ってお菓子をもらうやつでしたよねー。ベル先輩って意外と子供じみた事が好きなんですねー」
これでひとつベル先輩の好きなことが分かったようでなんだかうれしかった。
「ただお菓子をやるだけなら面白みもないし、愛も伝わんないですよねー。あっ!」
手をポンと叩いて、一言。
「閃いた」
―翌日―
「やっぱオレ王子だからコスプレしなくていいんだよな。」
不気味な笑みを浮かばせて、ベルはフランの部屋に向かって廊下を歩く。手にはフランにあげようとしたカボチャの被り物を持って。(今日はハロウィンだからカエルじゃなく、ハロウィン物を被らせねーとな)そんなことを思っているうちにフランの部屋の前まで来ていた。危うくそのまま通り過ぎるところだった。
「フラン、トゥイッカートゥイー。ししし」
ドアをコンコンと叩いて、ハロウィンでなじみのセリフを吐いた。そしたら中からフランが、
「お菓子なら扉の裏にありますよー」
何て面白みもなく、普段とおりの口調で返ってきた。
(何でオレだけハイテンションなんだよ。馬鹿馬鹿しく思ってしまうじゃねーか。まっ、王子はお菓子をもらえりゃそれでいいや)
ベルはそんなことを思いながらドアを開けた。
すると目の前に、ベルの腰元くらいある大きな大きなそして、見事に綺麗に包装されてある箱が置いてあった。
「デッケェー。フランやるな」
ベルの問いかけに空しく返ってこなかった。そういえばフランのやろー見当たらないな。と、ふとベルはどこにいるんだろうと考えたが、目の前にこんな大きな箱の中身が気になって、フランのことはいったん忘れ、箱のほうへ行った。
ごくん。
箱に結びついてある赤いリボンを解いた。箱を開けたら・・・。何て淡い期待をしながら蓋をがばっと勢いよく開けた。
「・・・・・・・・・。」
唖然として立ち止まる。
ベルが見た光景とは・・・。箱の中に沢山のキャンディーやチョコなどさまざまなお菓子に紛れ、いかにも自分を食べてくださいみたいな感じで、期待の目で輝かせているフランがいた。
その後の出来事は言うまでもない。箱の中に無数のナイフと白い液体ではなく、赤い液体が新たに入ってたってことは。
(し)
↓
(おちま)
―落血舞い―
初のフラベルです。オチまで行くのに長かったフラベルです。
長すぎてすみません。これから修行を積みます。たぶん、きっと。
最後までこんな駄文を読んでくださり有難うございます。
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