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ace of diamond
エンヴィー(倉→亮←春 御+倉×亮)
 

              美しいものには棘がある

              棘を纏うことで 誰も簡単には近づけない
              だからこそ尚一層美しく 周囲から魅入られる
              まるで誇り高きあのバラのように
              美しい花の周りに茨の要塞
              だから美しい

 

 
 汗が鬱陶しく感じる。それをからかっているかのように太陽はギラギラ照らしてくる。
 太陽を睨んでも眩しいだけ。
 
 ・・・眩しいか・・・・・・・・・。
 俺の側にいる人も眩しいよな。一つしか違わないのにスッゲー尊敬できる先輩。1年間一緒に組んでくれてるセカンドの小湊亮介さん。
 でももうすぐ別れが近づいているんだよな。亮介さんは3年だから、今年の夏で引退しなくてはいけない。後残り少ない時間を一秒も無駄にしたくない。わずかな時間を楽しく迎えたい。
 久しぶりに練習のあとティーバッティング誘ってみようかな?
 
 そんなことを考えている時に、自分が守っているショートの所にボールがやってきた。反応が遅れ、ボールへ飛び込んだが間に合わず、グローブの横を通り過ぎてしまった。

 「倉持ー、何ボーっとしてたんだオラァ!」
 純さんが怒鳴っていってきた。
 すぐさま俺は謝る。
 
 「すみません!!」
 深々と後ろを向いて頭を下げた。頭を上げようとしたらペチンと頭を叩かれた。

 「痛っ」
 「コラ倉持。何考えてたの?」
 この声は・・・・・・、亮介さん?
  
 振り向くとそこにニコニコしながら亮介さんが立っていた。太陽みたいな亮介さんが・・・・・・。

 「しっかりしてくれよな。」
 「スミマセン」
 またもや頭を下げる.
 
 「後で聞いてあげるからさ。クス」
 「は、はい。ありがとうございます」
 うれしくてたまらなかった。
 早く練習が終わらないかなとあの青い空を見て思う。空を見るのも悪くない。

 
 太陽が西に傾き、それとともに練習が終わった。グランドに礼をし終えると急いで倉持は、亮介さんの姿を探す。

 いた。
 亮介さん
 と声をかけようとした。

 だが………。

 「兄貴!」
 邪魔者がはいった。いつもいつもこうやって入ってきやがる。とられたくない。だが俺には咎めるような権限が持ってない。アイツは俺よりも年下だが、皮肉な事に俺の尊敬する亮介さんの弟だからである。
 とりあえず遠くから様子を見ることにした。

 「何、春市?」
 愛想の無い声で亮介さんが言った。(だが実際は普段と変わらない態度で話してるのだが、倉持には、興味が無いかのような愛想の無い声に聞こえた。)
 「一緒にティーバッティングやろっ」
 残念でした。亮介さんはこの後俺の話をきくっつう大事な事があるんだよ。
 
 「いいよ」
 えっ?
 ヒャハハハハ・・・はは・・・・・・。
 ちょっ、亮介さん・・・・・・!?
 ・・・・・・・・・。

 過ぎ去ってゆく二人の背中をただ見つめる事しかできなかった。頭の中には、何でっと言う言葉でかき乱されていた。


 誰もいないグラウンドにただ一人の影。


 太陽は完全に消え月がやってきた。後もう少しで新月になりそうなぐらいほそながく、消えてしまいそうだった。

 まだ、倉持はグラウンドでうずくまっていた。一度落ちこむとずっと落ちこんでしまう悪い癖があった。それに今回は、喜んだ後に起きた事だからなかなか開き直る事ができなく、ただ蹲っている。


 また、ここでも孤独(一人)か。ここでやっと俺を受け入れてくれる人が見つかったって思ってたのに、ただの被害妄想だったんだな。

 じゃりっと近くに土を踏みしめる音がして、言う。
 「あれ?其処にいるのって倉持?」
 
 この声は、御幸・・・・・・。

 「ここにいると風邪ひくぞ。っておい、まだユニフォームのまんまかよ」

 じゃりっと土を踏む音が、倉持のすぐ隣で止まった。そして、倉持の肩に御幸の肩が触れた。

 「お前、落ちこんでるのか」
 そっと隣で御幸は囁くかのように優しく言う。その答えとしてコクンと首を小さく縦に二回ほど振った。すると御幸の言葉から思ってもいないことが告げられる。
 「亮介さんっか」
 
 ピクンと倉持の腕が動いた。

 「あの人はさ、最近弟さんに振り回されているんだよな。そのせいで俺は亮介さんをいじる事ができないんだけどな。」

 「・・・・・・・・・。」

 「でもな、さっきお前の事ずっと探し回ってたんだぜ。凄い必死だった。」

 「えっ?」
 
 やっと口を開いてくれたかと言葉に出さず、御幸は続けた。

 「あんまりあの人を心配掛けさせるなよ。お前が思っているよりもあの人はお前の事を大切にしてくれている。俺もな」

 最後の御幸の言葉が言い終えた直後、遠くから息を切らしながらコッチに言う声がする。

 「倉持ぃ」

 紛れもなく亮介さんの声だった。

 「じゃあ、後は二人で仲良くやれよ」

 すっと御幸はたった。そしてじゃりっと土を踏み鳴らす音をだしながら、どんどん過ぎ去ってゆく。そしてコッチにもう一つ小さな音をだしながらコッチへ近づいてきた。

 「ハアハア。倉持・・・(にこ)」

 俺は、本当に幸せ者です。





 
              光があるから影が出来る
              光がないと陰は出来ない

              光がある反対側に影が出来る
              光と陰は重なる事はない

              相容れぬ関係
 
              それでいい
              それがいい

              其処に自分がいる
              存在を認め合える              

              それだけで幸せ
 




                                            fin



 今回は嫉妬というテーマで書いてみることにしました。あと話のストーリーは、ただ二つの詩を書きたくってそれにそって無理やり書いてみたんです。そしたら以外と話が出来て・・・。まあでも無茶苦茶なところはたくさん出てきちゃいましたけどネ〈笑〉


 最後にこのような駄作を読んでくださり有り難うごさいます。

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