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オリジナルSS

疲れた身体を引きずりながら会社を出て、駅までの道を歩いていく。

もうすっかり暗くなった道を進みながら考えるのは仕事のこと。
部長という役職にいる稲森志津瑠(いなもり しづる)は仕事の出来る超エリートなのだ。

一流大学をトップの成績で卒業し、今の会社に入った稲森は入社当時から仕事が出来、上司からも同僚からも一目置かれる存在だった。

そして、今は部長というポジションに落ち着き、毎日手の焼ける部下達を引っ張っている。
その中でも最も手が焼ける部下が一人。
入社三年目になる津郷克史(つごう かつし)だ。

津郷は入社した時から営業成績は最下位。
書類もよく間違いが見受けられる。

(時間が出来たら、津郷にはちゃんと指導しないとな…)

そんなことを考えていると、あっという間に駅に到着した。

時間が時間なだけに、あまり人が居なく、いつも賑やかな駅は静まり返っている。

切符を買い、改札を通ってホームに行くと、既に電車が到着していた。
それに乗り込むと、アナウンスが聞こえ、ドアが閉まる。

車内は人気が無く、稲森が乗った車両には誰も乗っていなかった。

この日はなぜか座席に座る気がせず、手すりにもたれかかる。
電車に揺られながら、夜の街に眼を傾けた。

これはいつものこと。
毎日、このガラガラの電車に乗って帰宅する。

自宅のある駅までは一時間弱だ。
この時間、他の駅から乗ってくる人はほとんど居ない。

だが、今日は違った。
稲森の乗る車両に一人の人物が乗ってきたのだ。

(へ〜、珍しいな)

帽子を深く被っていたせいで顔は見えなかったが、体格からして男だということだけは分かる。

それ以外には誰も乗って来ず、電車は再び走りだした。
稲森もまた外に眼を向ける。

そんな彼に先ほどの男が近づいてきた。
だが、ハードな仕事で疲れていた為、稲森は全く気が付いていない様子だ。

外の景色を見ながらも、眼は少しうとうとし始めていた。
駅まではあと三十分以上もある。
稲森は少し思いやられていた。

そんな時、尻に何かが当たる感触。
鞄か何かだと思ったが、この車両には自分と先ほど乗ってきた男だけ。

何が、と考えている間も尻に当たるそれは離れようとしない。
そして、次の瞬間、そこをむにっと捕まれる感覚がした。

(これは…手!?)

間違いない、これは人の手だ。
それは稲森の尻をしつこく撫で回してくる。

これは所謂痴漢というやつだ。

だが、自分は男。
なぜこんなことをされるのか、理解が出来なかった。

その手つきはいやらしく、稲森のモノは徐々に固くなっていく。

「っ、ん…」

されていることはこんなにも屈辱的なのに、稲森の身体は気持ち良さを感じていた。

そして、その手は稲森の昂ぶりへと移動してくる。

「あっ…!」

ズボンの上から苦痛を感じるほど揉まれ、思わず甘い声が漏れてしまう。
顔も分からない相手にこんなに感じるなんて、すごく惨めな気持ちになった。

「く、ぅぅ…はっ、あ…っ」

手すりを握っていた手をドアに移動させ、そのまま身体を委ねる。

最初は怖かったのに、今は快楽の方が勝っていた。
男の触れたところが気持ちいい。

もっと触ってほしくて、稲森は自ら腰を動かしていた。
それに気づいたのか、男が耳元でふっと笑う。
それが妙にくすぐったい。

男はズボンのジッパーに手を掛け、ゆっくりと下ろしていった。
そこから稲森の昂ぶったモノが取り出される。

外気に晒され、昂ぶりがぴくっと震えた。
そこに男の手が直に触れ、稲森は気持ち良さに浸っていく。

「く、っん…ふぅ…あっ…んっ」

大きな手で上下に激しく扱かれ、先端からは先走りがだらだらと溢れていた。

そんな時、薄く開いた眼に電車の窓が映る。
そこには頬を真っ赤にして眼を潤ませた自分の姿があった。
言い知れぬ羞恥心が稲森を襲う。

「っ…」

そして、窓にはもう一人の男が映っていた。
稲森はその人物に眼を見開く。

「!?……津郷?」

そう、そこに映っていたのはよく見知った人物──部下の津郷だったのだ。

「おま…っ、何をっ」

まさか部下にこんなことをされるなんて、誰も思わないだろう。

「やめっ…つ、ご…っ」

腰をくねらせて必死に抵抗をしてみるが、それは逆に津郷を煽るだけだった。

「部長、そんなに大声出していいんですか? 他の車両の人に聞かれたら…恥ずかしいのはあなたですよ?」

「っ…」

津郷の言葉に稲森は何も言えなくなる。
他人にこんな姿を見られるなんて、稲森には耐えられなかった。

「分かったなら、大人しくしててください」

抵抗を止めた稲森の耳元でそう言いながら、彼のズボンを少しずりおろすと、昂ぶりに触れていた手を窄まりへと移動させる。

固く閉ざされたそこを指の腹でぐにぐにと捏ねてやると、稲森の身体がびくっと震えた。

「っ、んなところ…やっ…」

「大丈夫ですよ、怖がらなくても。痛くないように慣らしてるだけですから。…部長はこれ舐めててください」

そう言うと、空いている方の手を稲森の口に持っていき、指を三本、彼の口内に侵入させた。

「んっ、ふっ…」

津郷の大きな指に舌を絡めていく。
その間、津郷は尚も窄まりを刺激していった。

本当は止めてほしいのに、この行為に快楽さえ覚えてしまい、津郷の指を無我夢中でしゃぶっていく。

「もういいですよ」

しばらく舐めたあと、津郷の言葉で指が口内から出ていった。

そして、今度は唾液で濡れた指が窄まりにあてがわれる。
そのまま中に指を一本、ゆっくりと入れていった。

「ぅ、ああ…っ」

侵入してくる異物感に、稲森は眉をひそめる。
その感覚が気持ち悪いのに、どこかで快感も感じてしまう。

指は次第に二本、三本、と増やされ、中でばらばらに動かして、そこを慣らしていった。

「…そろそろ射れますよ?」

「?…射れ──!?」

稲森は男とこんなことをするのなんか、当然初めてだ。
だから、津郷のされるがまま。

彼の言葉に「何を?」と訊ねようとしたが、その前に言い様のない苦痛が稲森を襲ったのだ。

窄まりの中に指なんかよりも太い何かが入ってくる。
それが津郷の昂ぶった性器だと気付くのに時間はかからなかった。

「やっ…いたっ…」

「すみません…。でもっ、少し我慢してください」

稲森の狭いそこに入っている津郷のモノはぎゅうぎゅうに締め付けられ、彼も苦痛を感じていたのだ。

そして、何かを探るように腰を動かしていく。

「な、ああっ」

ある一点を掠めた時、稲森の口から甘い声が漏れた。
津郷はそこを何度も刺激していく。

「あっ、やっ…」

最初は苦痛を伴っていたのに、今は快楽の波に呑まれていた。

津郷が腰を動かす度に内壁が擦られ、なんとも言えない快感が襲ってくる。

気付けば稲森もこの行為に溺れていたのだった。

「あっ、つ、ご…はっ、あ…もっと…」

「もうイキたいですか?」

「んっ…キ、たい…イかせて、くれ…」

もう羞恥も何も忘れて、稲森はただ乱れるだけ。
もっと突いてほしくて、熱を吐き出したくて、必死に津郷を求めていた。

「俺も、もう限界です」

稲森の腰を両手て掴み、腰を激しく打ち付けていく。
結合部からは肌がぶつかり合う音と、いやらしい水音が鳴り響き、二人の欲求を煽っていった。

「あ、あ…っ、ごう…津郷…っ、も…イクっ…ん、あああ──っ…!」

「部長…っ」

中を激しく突かれ、稲森は絶頂を迎える。
昂ぶりからは白濁が勢い良く飛び散った。

その時、中にあった津郷のモノはキツく締め付けられ、稲森の中に欲を放ったのだった。





それからしばらくし、稲森は目的の駅に到着した。
まだ赤く染まる頬を気にしながら、電車を降り、改札へと向かっていく。

そんな稲森の隣にはスッキリした顔の津郷。

(ったく…)

家に帰ったら津郷に厳しく説教をしてやろう、と思いながら家路に着いた。

だが、稲森の心に何か別の感情が生まれてくる。
本当なら突き放してもおかしくないのに、なぜかそうは出来なかった。

そんな自分の気持ちに戸惑いを感じながら、家までの短い道程を歩いていく。
津郷と一緒に──。

END



*あとがき*
ここまで読んでくれてありがとうございました。
相変わらずの駄文ですみません。
途中で脱線してしまった感が若干…。
また機会があったら続編みたいなのも書く──かもしれません。(笑)
☆adios amiga☆
執筆:2010/05/21

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あきゅろす。
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