オリジナルSS
2
「でも…」
「大丈夫。俺は彩斗が来てくれて嬉しいんだから」
「ほんとに?」
涙で滲む大きな瞳が不安そうに克哉を映し出す。
そんな彩斗を安心させるように微笑めば、自然と彩斗の表情も穏やかなそれになった。
「おいで」
布団をめくり、窓側に身体を寄せる。
空いたスペースに右手を置き、ぽんぽんと二回叩いて、ここに来いと言うようにその場所を示した。
「うんっ」
さっきまで泣いていたのが嘘のように笑顔を取り戻した彩斗が駆け足でベッドに近寄ってくる。
そんな姿が可愛いな、と思っていると、克哉の右側に空いたスペースに彩斗が腰を下ろした。
だが、座ったままで横になろうとしない。
「あっ…やっぱいい!」
ベッドに座る彩斗の身体を一緒に寝かせようとした時、克哉の身体を押し返し、突然ベッドから立ち上がってしまった。
あまりに突然の行動に、克哉が慌てて問い掛ける。
「あ、彩斗? どうした? そんなに嫌だったか?」
「違う。そうじゃなくて…克哉さんだけ寝てよ。身体大変なのに、僕が隣に寝てちゃゆっくり出来ないでしょ?」
どうやら、倒れた克哉を気遣って邪魔にならないように、と考えているようだ。
「綾斗?…そっか。じゃあ、台所から氷持ってきてくれない?」
「うん! 分かった」
この時、克哉の顔に不適な笑みが浮かんでいたことなんて、綾斗は少しも気付いていなかった。
「持ってきましたよ!」
しばらくしてドタドタと綾斗が部屋に戻ってきた。
その手には氷枕。
「ありがとう。おいで」
必死に走ってきてくれた綾斗に笑みを見せ、彼を自分の元に招き寄せる。
ふわっとした髪の毛の感触が克哉の頬を掠めた。
「克哉さん、氷」
「あぁ、ありがとう」
綾斗から氷枕を受け取り、それを枕の上に置く。
氷枕の中に入っている氷が触れ合う音が二人の耳に入り込んできた。
そして、胸がドキドキと高鳴っていく。
「綾斗」
耳元で名前を呼ばれたかと思えば、今度は身体が大きく揺れ、目の前には克哉の顔があった。
どうやら氷枕の上に倒れたらしく、頭がひんやりとした感覚に包まれる。
「ごめん、我慢出来ない」
「克哉さん?」
最初に綾斗が部屋に来た時から気持ちを制御出来る自信はなかった。
弱っているところに一番愛しい人物が現れたのだ。
しかも、他でもない自分を心配して、息を切らして駆け付けてくれた。
これに欲情しないほど、克哉は出来た人間ではない。
「こんな可愛い綾斗を前にして何もしないなんて…拷問だよ?」
「な──んっ」
既に余裕のなくなった瞳で綾斗を見つめれば、すぐさま綾斗の唇を己のそれで塞いだ。
小さな彼の唇を貪るように口付けを交わしていく。
それは徐々に深いものへと変わり、綾斗の口内を克哉の舌が舐め回す。
歯列をなぞり、舌をちゅっと吸い上げれば、綾斗の肩がびくっと震えた。
「んっ、はっ…克哉さん…」
しばらくの接吻のあと、離された唇は互いの唾液で濡れていて、綾斗の眼には少しの涙。
頬を蒸気させながら、何かを訴えるような眼差しで克哉を見上げてくる。
「身体が…熱いよ…」
「綾斗…。キスだけで感じたの?」
吐息混じりの甘い声に、綾斗は身体がさらに熱くなるのを感じた。
その熱は確実に下半身へと伝わっていく。
「…だって…」
恥ずかしそうに頬を赤らめる綾斗を抱き寄せ、氷枕を手に取ると、克哉はニヤッと口の端を上げた。
「身体、熱いんだよな? なら、冷まさないと」
言葉と同時に綾斗の服を託し上げ、再びベッドに押し倒す。
露になった小さな突起を指で摘み、刺激を与えてやる。
すると、綾斗が身体を捻らせて反応した。
「ほんと、熱いな」
氷枕に手を伸ばすと、中から氷を一つ取り出す。
少し溶けて汗をかいているそれを綾斗の突起に当て、押しつけるようにぐりぐりと動かしてやる。
「あっ…めたっ…」
氷の冷たさに身体が震えたが、火照ったそれには氷の冷たさが丁度よかった。
熱く疼く身体を氷が冷ましていくようだ。
氷は下半身へと移動し、身体に濡れた跡を残していく。
やがて昂ぶりに触れ、既に濡れたそこに冷たい液体が加算した。
「あ、ん…」
下から上へと氷を滑らせ、何度も扱いてやる。
その氷の冷たい感覚が気持ちいい。
「どう? まだ熱い?」
「んっ…熱、いよ…」
いくら氷で冷まされても、それを上回るほどに身体が火照っていく。
そんな綾斗の言葉を聞き、克哉は氷を昂ぶりの先端へと移動させた。
「ああっ!」
ぐりぐりと割れ目を氷で刺激され、綾斗は身体をびくっと震わせる。
それでなくても綾斗は先端を弄られるのが弱いのだ。
氷でなんて弄られれば、すぐに達してしまいそうになった。
「ちゃんと冷ましてやるから」
「は、ぁ…ば、か…っ」
分かっていてやっている克哉は意地が悪い。
綾斗の身体のことは本人以上に克哉の方が知り尽くしている。
それが少し悔しくもあるが、それ以上に嬉しかった。
「あっ…も、イっちゃ…」
「いっぱい出しな」
言葉と同時に氷を強く擦り付けられる。
「あああ──…っ」
氷を当てたまま上下に扱かれ、親指で先端を刺激されれば、綾斗は簡単に白濁を放って達してしまった。
END
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