復活BLDSS 2 「ヒバリ、さん…」 小さく呟かれた彼の名前は雲雀本人に届くことなく、広い廊下に吸い込まれていった。 忘れかけていた涙が再び頬を濡らしていく。 ここに来ると、あのキスの現場が鮮明に思い出され、名前の胸を締め付けた。 なのに、その場から立ち去ろうとしても、足がびくともしないのだ。 「ねぇ、何泣いてるの?」 「っ…ヒバリさん…」 不意に掛けられた言葉に一瞬肩を震わせたが、それが誰の声かなんて、涙で歪んだ視界でもすぐに理解できた。 好きな相手の声を間違えるはずがない。 「そんなとこで泣いてないで、入れば?」 「ぇ? えっと…」 雲雀の申し出に名前は悩んだ。 彼に招かれたのは嬉しいが、これ以上あのキスのことを思い出したくない。 このまま応接室に入れば、今まで隠してきた想いまで全て言ってしまいそうで怖かった。 「いえ…僕は…」 「いいから、入って」 断って帰ろうとしたが、それよりも早く雲雀に腕を捕まれ、そのまま中へと連れて行かれてしまった。 久しぶりに入る応接室は何も変わっていなくて、少しだけ安心する。 名前が最後にこの中に入ったのは半年前。 雲雀への恋心に気づく前、名前も風紀委員として応接室へと通っていた。 だが、雲雀への恋を自覚してから、彼にどんな顔をして会えばいいのかわからず、風紀委員を辞めたのだ。 「あの、ヒバリ…さん…」 「ねぇ、ここに入るの半年ぶりだよね?」 「ぇ?…ぁ、はい」 [*前へ][次へ#] [戻る] |