企画 1 クリスマスの夜、王様達が主催したクリスマスパーティーに出席した伊藤啓太は部屋に戻って、ベッドに身を沈めた。 パーティー自体は楽しかったが、そこに啓太の望む人物の姿はなかった。 「今日は会えないのかな…」 恋人である中嶋英明は普段から生徒会の仕事が忙しい人だ。 それはクリスマスだってかわらない。 現に昨日のイヴも啓太を放っておいて仕事をしていた。 だから、せめて今日だけは会いたかったのだが、そのクリスマスもあと一時間もしないで終わってしまう。 なんだか空しくなって、啓太は早く寝ることにした。 「…太、啓太」 「ん、ぅ〜…?」 あれからどれくらい経っただろう? 啓太はすっかり眠っていたらしく、自分を呼ぶ低い声に眼を覚ます。 ぼんやりとした視界の中で見えたのは、不機嫌そうな中嶋の顔だった。 「な、中嶋さん!?」 驚いて飛び起きれば、中嶋の手が啓太の頭に添えられ、啓太は動きを止めてしまう。 啓太が固まっていれば、その唇に中嶋のそれが重ね合わされた。 突然のことに眼を見開くが、そんな啓太を他所に、中嶋の舌が口内に捩じ込まれる。 「ん、ふっ…ぅっ」 「っ…啓太、丹羽とのパーティーは楽しかったか?」 唇が離されたかと思えば、突然そんなことを聞かれ、啓太はきょとんとした。 正直、中嶋の居ないパーティーのことなどあまり記憶になく、どう答えていいかわからない。 でも、変なことを言って中嶋を誤解させるより、素直な気持ちを言えばいい、と思い、啓太は口を開いた。 「中嶋さんが居なかったから、正直よく覚えてないんです」 「それは俺への告白と受け取っていいのか?」 「え?…あっ、いや、そういう意味じゃなくて…。でも、そういう意味…かもしれないです」 中嶋の言葉に慌てて否定するが、自分でもよくわからなくて、結局は曖昧な答え方になってしまう。 確かに今のは告白のようにも聞こえるが、啓太自身はそんなつもりは全くないのだ。 [次へ#] [戻る] |