企画 1 今日、十二月二十四日はクリスマス・イヴだ。 本来、クリスマスやクリスマス・イヴは恋人と過ごしたい、というのが普通だろう。 それは沢田綱吉だって同じこと。 現在、時計の針は深夜十一時を指している。 あと一時間もしないうちに二十五日になってしまう。 実は数日前、恋人である雀恭弥とある約束をしていた。 『今年のクリスマスは一緒に過ごしたい、ですね』 『クリスマスだけでいいのかい? 僕はイヴから君と居たいけどね』 イヴから一緒と言ったのは雲雀の方。 綱吉は彼の言葉を信じ、今日という日を楽しみにしていた。 「ヒバリさんの…バカ」 今夜は一緒に過ごせるはずだったのに、楽しみにしていた分だけ悲しくなる。 雲雀にだって予定があるのだから、急に来れない事情ができたのだ、と無理矢理自分を納得させようともしたが、会いたい気持ちはなくならない。 寂しさが限界を超え、綱吉の瞳から涙がこぼれ落ちてきた。 もう早く寝てしまおう、とベッドに潜り込み、布団を頭から被る。 瞳から溢れる涙が枕に伝い、大きなシミを作っていった。 「全く、君は無防備だね」 「っ!?」 自分しか居ないはずの部屋から、突然自分以外の声が聞こえてきて、綱吉は息を飲む。 いくらベッドに潜り込んでいても、普段から聞き慣れたそれは声だけで誰のものかわかった。 そっとベッドから顔を出し、声のした方に視線を向ける。 すると、そこには綱吉の待ちわびは雲雀がドアの縁にもたれ掛かっていた。 「ヒバリ、さん…」 「遅くなって悪かったよ」 [次へ#] [戻る] |