サブBLSS
隣にあるぬくもり(アキヒカ)
甘
今日は土曜で、明日も学校が休みだから、進藤ヒカルは恋人である塔矢アキラの家に来ていた。
時刻は夜九時を回ったところ。
アキラの父は地方の仕事で、母は旅行中。
つまり、今この家に居るのはアキラとヒカルの二人だけ。
(なんか…キンチョーするっ)
今まで二人きりになったことはあったが、必ず佐為が居た。
だから、ほんとの二人きりになったのは今が初めてということになる。
何度か来たことのあるアキラの部屋は物が少なく、あるのはベッドと机と碁盤くらい。
相変わらず綺麗にしているな、とヒカルは頬を緩めた。
「進藤、すまない。恋人と二人きりで過ごすなんて、僕は慣れてないから…つまらなくないか?」
ベッドに腰掛け、囲碁雑誌を読んでいたアキラがふと口を開く。
発せられた言葉は悲しげなもので、彼はヒカルが黙っていたのをつまらないから、と感じていたらしい。
「んなことねーよ。とーやと居るとすげー楽しい。ただ…その…俺も…こ、恋人と二人きりで過ごすなんて慣れてないから…どーしたらいいか、わかんねーんだ!」
最後は恥ずかしさのあまり、声を荒げてしまった。
だが、そんなヒカルの肩を抱き止せ、アキラは耳元に唇を寄せる。
「じゃ、一緒だね、ヒカル」
甘い声と一緒に、ヒカルはぎゅっと抱き締められ、アキラと向き合う形になった。
その腕のぬくもりに浸っていると、アキラの身体が離れ、一瞬の隙に押し倒される。
「ちょっ、とーや!?」
「このまま…いいかい?」
言われた言葉にヒカルは頬を赤らめた。
もう何回も身体を重ねたが、やはり恥ずかしさは抜けないものだ。
「いい、よ」
真っ赤にした頬を見られたくなくて、顔を反らして答えてやった。
きっとアキラはそんなことなど気付いているのに──。
今隣にあるぬくもりがいとおしい、と思いながら、ヒカルは眼を瞑った。
*END*
*あとがき*
久々ヒカ碁!
ちょっと初々しいアキヒカ目指してみました。
楽しんで頂けたら幸いです。
執筆:2010/12/07
神奈樹じゅん
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