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サブBLSS
一週間ぶりの体温と啓太の涙(和啓)
切甘エロ


ここ一週間、恋人である遠藤和希に会えていない。
BL学園の生徒であると同時に、ここの理事長でもある彼は仕事が忙しいようだ。

「はぁ〜…」

生徒会室の窓から外を眺め、伊藤啓太は今日何度目かのため息を吐いた。

「啓太ー、何ため息なんか吐いてんだ?」

「ぁ…王様…」

王様こと丹羽哲也の声ではっと我に返る。
今、啓太は生徒会の手伝いをしていたのだ。
どうやら、さっきから副会長である中嶋英明に何度も呼ばれていたらしく、啓太が眼を向ければ、不機嫌な顔が見えた。

「な、中嶋さん…」

「生徒会室に居る以上、しっかりと働いてもらわないと困るんだが」

「すみません…」

こんなことではダメだ、と啓太は自分に喝を入れ、目の前の書類に神経を集中させる。
和希のことを考える暇などないほどに──。

「ふぅ〜…」

数時間経てば、大量にあった書類も全て終わっていた。
すっかり疲れきった体を伸ばし、大きく天を仰ぐ。
眼に入る白い天井が和希の部屋を連想させ、思考が完全にそちらに行ってしまった。

(ちょうど一週間前…俺…和希と…)

啓太は和希と最後に会った時のことを思い出していた。
ベッドに押し倒され、ふと眼に入った天井は…この部屋と同じ綺麗な白。

『ぁ…か、ずき…』

先週の金曜の夜。
和希の部屋で、啓太はその体を暴かれていた。

啓太に負担をかけないように、丹念に慣らした入り口には和希の昂ぶりが目一杯陣取っている。
横を向いた啓太の左足を持ち上げ、後ろから啓太の昂ぶりに手を伸ばして腰を打ち付けていく。

『ン…ふ、ぁ…か、ずきぃ…』

『ん? 啓太、どうした? どこか痛いか?』

枕に顔を埋めて切な声を出す啓太の表情を確認しようと体を前のめりにし、啓太の顔の横に手を着いた。
すると、隠れていた顔が和希を見上げ、その潤んだ瞳に和希の下半身は反応してしまう。

『ぁ…ばか…な、に…おっきく…』

『ごめん、啓太が可愛くて…つい』

『ばか…』

『で? どうしたんだ? どこか痛かった? それとも──』

予想外の啓太の表情に欲情させられたが、すぐに話題を最初に戻した。
うっすらと浮かんでいる涙に舌を這わせ、目尻に口づけを落としてやる。
それに安心したのか、啓太の表情が少し和らいだ。

『この格好…やだ……和希が…遠い…』

『け、啓太?』

『キス、したいのに…』

無意識なのだろうが、啓太が放ったその言葉は和希の理性を刺激していく。
可愛い恋人にこんなことを言われたら、普通喜ばない男はいない。

だが、ここで本能に任せて抱いてしまうことはできなかった。

『じゃあ…』

言いながら、ベッドの上の啓太の体をいとも簡単に持ち上げ、繋がったまま、和希の膝の上に座らせる。
その小さな体を後ろから包み込むようにぎゅっと抱き締めた。

『これなら近いし…』

『んっ…んぅ…』

急に近くなった距離で囁かれたかと思えば、顎を捕まれて後ろを向かされる。
秒数置かず、和希の唇が重ねられた。

『んっ…啓太…』

『か、ずき…』

『これならキスもできるよ』

『うん…』

そんな甘い夜を最後、キスはおろか、会うことすらままならず、啓太の寂しさは頂点に達してしまった。

「和希…」

「伊藤、仕事が終わったなら早く帰れ。俺の仕事の邪魔だ」

「ぁ…すみません」

言われて眼を向ければ、中嶋の前にはまだたくさんの書類が残っていた。
ここに居てもやることはないし、啓太は言われた通り生徒会室を退室する。

「はぁ〜…」

ドアの前で一息吐き、これからのことを考えてみる。

「和希に会いたいけど…理事長室に行くのも悪いし…」

何より彼の仕事の邪魔をしたくなかった。
それなら自分が寂しい想いをする方が何倍もマシだ。

結局、やることもなく、啓太は寮に戻ることにした。





「あれ?…開いてる?」

自室の前に着き、ドアノブを回した時、啓太は異変を感じた。
今朝は閉めたはずの鍵が開いているではないか。

「閉め忘れたのかな…? それとも…泥棒?」

考えだしたら止まらなくなり、意を決して確かめることにした。
ゆっくりとドアを開け、部屋の中へと足を踏み入れていく。

「ぁ…」

もし泥棒だったらどうしよう、と思っていたが、部屋の中を見た途端、驚きと安心感が同時に襲ってきた。
そして、眼からはポロポロと涙がこぼれ落ちる。

「かず…き…」

「あ、啓太、おかえり。って…どうした!?」

部屋の中に居たのは紛れもなく和希本人。
会いたくて仕方のなかった人が目の前に居る。
その事実が啓太は何より嬉しかった。

そんな啓太の気持ちなど知らない和希は、いきなり泣き出した啓太の様子に戸惑いを隠せないようだ。
何が悲しいんだ、と訊かれ、啓太は大きく首を振った。

「違う…。嬉しいんだ。和希に…会えたから…」

「啓太…。俺も嬉しいよ。やっと啓太を抱き締められるんだから…」

一週間分の寂しさを埋めるように、涙する啓太の体を抱き締める。
しっかりと、互いのぬくもりを確かめ合うように──。

END



*あとがき*
初の学ヘブ小説!
昔はメインで書いてた時期もありましたが。
もしかしたらすきすがでもメインに昇格するかも!(笑)
読んでくれてありがとうございました!
執筆:2011/01/04
神奈樹じゅん

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あきゅろす。
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