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復活BLSS

 


「さ、そろそろ帰りましょうか」

「うん」

雲雀に服を剥ぎ取られていた綱吉に元通り服を着せ、獄寺が立ち上がる。

屋上の出口へと歩いていく彼の後ろを追い掛ける綱吉は、ふと告白された時のことを思い出す。
身体が勝手に動き出し、前を行く獄寺の右腕を掴んでいた。

「つ、綱吉? どうしたんですか?」

「なんか…あの日のこと思い出して…身体が勝手に」

「あの日…綱吉は今みたいに俺の腕に縋ってくれたんでしたね。今でも鮮明に覚えてます。嬉しくて死ぬまで忘れられません。あの日、家に帰ってから右腕ばっか見ちゃって…洗うのが勿体なくて風呂に入るの躊躇っちゃいました」

初めて聞く話に嬉しくなる。
あの日、綱吉は掴んだ獄寺の右腕の感触が忘れられなかったのだ。

「俺も、あの日は手を洗うの勿体ないって思ったよ。それどころか、右腕って言葉を聞くだけで獄寺君の顔が浮かんできちゃうんだ」

「綱吉…。じゃあ、これからも“右腕”って言葉を聞いたら、十代目の右腕の俺を思い出してくださいね」

「獄寺君…それって、身体の右腕と比喩の右腕を掛けたダジャレ?」

まさか、と思いながらも、彼ならあり得るかも、と思ってしまう。

「はい!…ダメでしたか?」

あまりにも堂々と答える獄寺が可笑しくて、綱吉は我慢出来ずに笑ってしまった。
それにつられて獄寺も笑いだす。

「も、帰ろうか」

しばらく笑って、綱吉が口を開いた。

「ですね」

それから、二人はいつもの家路を歩いて帰った。





綱吉の家に着き、別れを告げる。
今日はいろいろあったが、獄寺との仲がもっと深くなった気がして、綱吉は幸せな気分だった。

そして、綱吉が家の中に入ろうとした時、獄寺が呼び止める。

「あのっ! 綱吉、俺…いつか…あなたの心の傷が癒えた時、抱きたい」

「それって…」

彼の言う『抱きたい』の意味を悟った綱吉は恥ずかしさや期待でドキドキした。

「もちろん、セックスをしたいって意味です。俺はあなたの心も身体も、全てが欲しい」

真っ直ぐに見つめる獄寺の瞳は真剣で、どれ程綱吉を想っているのかが分かる。
そんな彼に、綱吉はなんとも言えない愛しさを感じていた。
これほどまでに自分を想ってくれる人が、果たして他にいるだろうか?

いつもクールで女の子にモテモテの獄寺に対し、スポーツダメ、勉強ダメ、おまけにチビで、ついたあだ名がダメツナの綱吉にはこんな彼が自分を好いてくれることが本当に嬉しかった。
きっと、この先、これほど自分を想ってくれる人など居ないと思うし、こんなにも想える相手も獄寺を置いて他には居ないだろう。

「俺も…獄寺君の全てが欲しい。だから…俺の全て貰ってくれる?」

「っ! 綱吉! ありがとうございます! 俺には勿体ないお言葉です」

綱吉の言葉を聞いた途端、獄寺は子犬のように喜んだ。
普段見せるクールな一面からは想像出来ないような顔。

獄寺の優しい顔はいつも綱吉にだけ向けられていた。
きっと、こんな獄寺を見れるのも自分しかいないだろう、と思うと嬉しさが込み上げてくる。

「だからさ、俺の心の傷……獄寺君が癒してね?」

「綱吉…。はい! もちろんです。もうあんなアヒルのことなんか考える暇もないくらいにしてやりますよ!」

「アヒルって…」

ちょっと酷いかも、と思う綱吉だが、否定出来なかった。
それどころか、アヒルになった雲雀を想像してしまい、確かに似てるかも、と思うのだった。

そして、これから獄寺が今日の傷を癒してくれることを、綱吉は少し楽しみにしていた。
きっと獄寺の暖かい右腕が全てを忘れさせてくれるだろう。
いつか自分の全てを貰ってもらうことを期待し、あの日、獄寺の右腕を掴んだ己の手を見つめるのだった。

END



【あとがき】
ここまで読んでくれてありがとうございました。
初のREBORN!小説でしたが、如何でしたでしょうか?
ラブラブな獄寺とツナの間にヒバリさんが入って掻き回す、みたいな感じでした。
なんか、獄寺とツナのラブラブっぷりが半端じゃないです。
甘々な感じを楽しんでいただければ幸いです。
また、今回描けなかった二人の初体験話も書いてみようと思います!
そして、今回の話の中で言っていた遊園地に行く話も書きたいです。
執筆:2010/10/22

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