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復活BLSS

学校帰りのいつもの道。
そこで沢田綱吉は絶体絶命のピンチに立たされていた。

「オラッ! 金出せって言ってんだろ!?」

「持ってんだろ!?」

「ひぃぃぃぃ!」

ガラの悪い二人組の男に迫られる。
これは所謂カツアゲというやつだ。
どうしよう?
大人しくお金渡して…。
でも、今週の日曜には獄寺君と遊園地に行く約束してるから、お金は使いたくないな…。

「あ、あの…俺、お金持ってなくて…」

笑って誤魔化そう。
それで隙を見て逃げよう!

「あ゛あ゛!? そんなんで俺らから逃げられると思ってるのか!?」

「ひぃぃぃぃ!!」

やはり、そう簡単にはいかない。
綱吉は絶望した。

「何やってるの?」

諦めて金を渡そうかと思った、その時だった。
突然後ろから低い──でも、どこか心地いいような声が聞こえ、綱吉は後ろを振り返る。

「あ…あなたは…」

綺麗な黒髪、学ラン、手には…トンファー。
風紀委員の雲雀恭弥だ。

「何群れてんの? それに今時カツアゲなんて趣味悪いね」

「なんだと!?」

相手を見下しながら悪口を吐く雲雀に、二人組の一人が掴み掛かった。

「噛み殺すよ」

言葉とほぼ同時に雲雀の腕が上に振るわれる。

「うあ゛あ゛!」

「ぐ、ぅっ!!」

一瞬にして男達が後ろに吹っ飛ばされた。
雲雀がトンファーで殴ったのだ。

「ひ、ヒバリ、さん?」

目の前で起きた一瞬の出来事に綱吉は眼を見開く。

(こ、怖ぇぇぇぇ!)

雲雀の冷徹な瞳が綱吉に向けられ、ふいにそんなことを思ってしまった。

「沢田綱吉」

「へっ?…あ、はい」

突然名前を呼ばれ、綱吉の口から間抜けな声を漏れる。

(ヒバリさん、俺のこと知ってたんだ)

並盛を牛耳り、恐らく彼を知らない人間など居ないであろう雲雀。
それに対し、勉強もダメ、スポーツもダメ、周りからはダメツナと呼ばれている綱吉。

そんな雲雀が自分の名前──それもフルネームで知っていたことに綱吉は驚きを隠せなかった。

「助けたお礼はきっちりしてもらうよ」

「え? お礼、ですか? あの…俺、ほんとにお金あんまり無くて…」

「違うよ。金なんかいらない。僕が欲しいのは…」

そこまで言うと雲雀の手が綱吉の方に伸び、その細い腕を掴む。
ぐいっと腕を引けば、綱吉の身体が雲雀の胸の中へと吸い込まれた。

「君だよ」

「あ、あの…ヒバリさん? それは、えっと…俺をパシリに、とかっていう…?」

「違うよ。沢田綱吉…僕の恋人になれ」

言葉が出なかった。
てっきりパシリにされると思ったのに、ヒバリさんは『恋人になれ』なんて。
意味が…分からなかった。

「あ、あの…それは…どういう?」

「どういう?」

綱吉の質問に雲雀は笑いを一つ零す。
そして、言葉を続けた。

「こういう意味」

「んぅ!?」

突然、綱吉の視界が暗くなる。

一瞬、何が起きたのか分からなかった。
唇に何かが触れる感触。
それは…雲雀の唇。

(き、キス!? 俺、ヒバリさんにキスされてる!?)

それは綱吉にとって、悪夢以外の何物でもなかった。

綱吉の恋人は獄寺隼人なのだ。
しかも、その獄寺とだってキスなんかしたことがなかった。

「んっ…やっ!」

すぐに雲雀の身体を引き離したが、キスした事実は消えない。

女々しいかもしれないが、綱吉は初めてのキスは獄寺と決めていたのだ。

「僕から逃げられるとでも思ってるの?」

「なんで…こんな…?」

雲雀に睨まれたら逃げられないことぐらい、綱吉にだって分かっていた。
でも、そんなことよりショックの方が遥かに大きい。

「なんで? そんなの好きだからに決まってるだろ? キスしたいと思うくらいにね」

「でも、僕には…恋人が、居る…んです」

緊張しながら、自分に恋人が居るということを伝えた。
恋人が居ると分かれば諦めてくれるだろうと思ったからだ。

それでも獄寺以外の人にキスされたショックはやはり大きかった。

「それは獄寺隼人のことかい?」

「!? なんで?」

まさか雲雀が自分たちのことを知っているなんて…。
しかも、その恋人の名前──それもフルネームで知っていたことに、綱吉は驚きを隠せなかった。

「君は“なんで”ばかりだね。…言っただろ? 君が好きだから。ずっと見てたから、恋人のことを知ってても不思議じゃないだろ?」

確かにヒバリさんの言うことは分かる。
俺も同じ立場を経験したことがあるからだ。










それは獄寺が転校してきたばかりの頃だった。
まだ、二人が恋人になる前のこと。

「十代目〜」

そう言って自分のもとに来る獄寺に友情以上の感情を感じていた。

でも、自分も獄寺も男。
恋だなんて疑いもしなかった。

だけど、どこかで感じていたのかもしれない。
これは恋なのかも、と。

それを認めなかったのは…自分が男だから。

「十代目、俺…十代目が…沢田さんが好きです」

屋上に呼び出されたかと思えば、獄寺からいきなりの告白。
彼の頬はほのかに赤く染まっていた。

「ぼ、僕も獄寺君好きだよ。大事な、友達だもん」

ちょっとだけ期待した。
獄寺君の言う『好き』は恋愛感情としてなのか、と。
でも、女の子にモテモテの獄寺君とダメツナの俺じゃ…釣り合わない。

今まで獄寺君に対する気持ちは恋愛感情じゃないと思ってた。
いや、ほんとは恋愛感情だと分かっていたのに、そうじゃないと自分に言い聞かせてたのかもしれない。
自信がなかったから。

「違いますよ! 俺は…友達としてじゃなくて、恋愛対象として好きなんですよ。…キスしたい、とかって…思ってしまうんです」

その言葉に綱吉の眼から涙が溢れだす。

「じゅ、十代目!?……すみませんでした。こんなこと言って。気持ち悪いですよね」

辛そうな笑みを浮かべて獄寺君が俺に背中を向けた。
このままでは行ってしまう。

俺は咄嗟に獄寺君の右腕を掴んでいた。

「行かないで。俺…俺も獄寺君が好き。友達としてなんかじゃなくて、恋人になりたいって思うくらいの好き。…キスだって……してほしいよ」

これは俺の素直な想い。
本当にキスしたいくらい好き。

今まで素直になれなかったのがバカみたいに気持ちが溢れだす。

「じゅ、じゅじゅじゅじゅ十代目!? それって…ほんとですか!?」

「うん。獄寺君が好き。大好き! まさか獄寺君が俺のことをそんな風に好きだなんて思ってなくて…嬉しくて、泣いちゃったんだ…」

気持ちを全てぶつけた綱吉の身体を獄寺が優しく、強く抱き締めた。










こうしてようやく獄寺と恋人になれたが、両思いになる前の気持ちは忘れられない。

だから、雲雀の気持ちも分かる。
相手のことをつい眼で追ってしまう。
それは綱吉も同じだったから。

「でも…だったらどうして付き合えなんて…?」

そこまで知っているのになぜ自分の恋人に、などと言うのか、綱吉には全く理解出来なかった。

「恋人が居ようが関係ない。僕は君が好きだから恋人になれと言った。それだけだ」

「それだけって…」

「言ったでしょ? 助けた礼はしてもらうよ」

それだけ言うと雲雀は立ち去ってしまう。
一人残された綱吉はまだ、これから起こる事件など、予想すらしていなかった。





翌日、綱吉は重い足取りで学校へと向かった。
雲雀に会わないことを願いながら。

「やぁ、草食動物」

綱吉の淡い願いは僅か五分で打ち砕かれてしまった。

「ヒバリさん…おはようございます」

振り返れば案の定、そこには雲雀が立っていた。
軽く会釈だけして、綱吉は先を急ぐ。

「待ちなよ。君は恋人を放って行っちゃうわけ?」

綱吉の細い腕を雲雀が掴んだことにより、綱吉は足を止めざるを得なかった。

「俺はヒバリさんの恋人になった覚えはありません。だいたい、俺には──」

「獄寺がいる?」

綱吉が言う前に雲雀が口を開く。
それは綱吉が言おうとしていたことで、雲雀は当たり、とでも言うような顔をしていた。

「ま、兎に角、今日の放課後に応接室に一人で来て。来なかったら噛み殺す」

「ひぃぃぃぃ! か、必ず行きます!」



必ず行くとは言ったものの、いざ放課後になれば、綱吉は朝の自分の言葉を後悔する。

でも、行かなければ確実に殺されるだろう。
そう思うと、嫌々ながらも応接室へと向かった。

「つ、着いちゃった」

応接室の前に着き、綱吉は深呼吸をし、ドアをノックする。

「入って」

中から雲雀の声が聞こえ、綱吉は応接室の中へと足を踏み入れた。
だが、これが悪夢の始まりなのだ。

「あの…」

「座りなよ」

「はい」

雲雀に言われるがまま、綱吉は部屋の真ん中にある高級そうなソファーに腰を下ろした。
きっと雑用か何かをさせられるのだろう、と思うと、憂鬱な気分になる。

だが、次の瞬間、綱吉は雲雀が自分をここに呼び出した真の目的を知ることとなるのだった。

突然、視界が揺らいだかと思うと、目の前には雲雀の顔。

「ひ、ヒバリさん!? ちょ、退いてください!」

「無理だよ。僕が君をここに一人で呼んだってことは、こういうことをする為だって、予想出来なかった? ま、君はキスすらしたことなかったわけだから、予想出来なかったのも仕方ないけどね」

言いながら、雲雀の手が綱吉の服に触れ、それを素早く脱がしていった。

「や、やだっ」

必死に抵抗してみるものの、恐怖で力が入らない。
綱吉はあっという間に服を全て剥ぎ取られてしまった。

露になった綱吉の身体に、雲雀の舐めるような視線が浴びせられる。
早く逃げ出したいのに、恥ずかしさと恐怖で綱吉は動けなかった。

「や…んあっ」

突然、下半身に何かが触れる感覚がし、そこに眼をやると、雲雀の手が綱吉の小さなモノを包み込んでいるのが見えた。
あまりの衝撃に綱吉は慌てふためく。

「ヒバリさん! 何やってるんですかぁっ。んっ…放してくださいっ」

「騒ぐな。助けた礼だって言っただろ?」

「でも、こんなの…んあっ、やだぁ…」

嫌で嫌で嫌で、気付くと眼からは涙が溢れだしていた。
ヒバリさんにキスされただけでもショックなのに、今度はこんなことまで…。

(怖い…怖い…。獄寺君っ)

俺は心の中で獄寺君に助けを求めていた。

だが、綱吉の想いとは裏腹に、雲雀の行為はどんどん進んでいく。
上下に激しく扱かれた肉棒からは先走りが溢れだし、雲雀はそれを指で掬うと、あろうことか綱吉の小さな窄まりにそれをあてがった。

「やっ、何…?」

ヒバリさんの指が、なぜか俺のお尻を触りだす。
そして、それが中に入ってきて、俺は違和感に眉を潜めた。

これは所謂…セックスってやつなのかな?
答えはガキの俺にも分かる程明白で…考えたくない。

「いや、やめ…っ、んうっ」

早く止めてほしくて、逃げたくて、綱吉はひたすら助けを求めるしかなかった。

「や、獄、で、ら…く…助け…あっ、んぅ」

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