リストカットの疎外
腕を傷つける意味を知っているか。
一概には言えない。そう、これはあんたなんかに理解できるほど単純な思考回路じゃない。
あんたは優しく言葉を掛けて、頭の裏側では自分がいい人になりたいだけなのをこちらは知っている。
あんたなんかにはきっと分からない。
あんたを含む全世界に疎外感を感じるということを理解できるわけがない。
皆、知らない。
孤独なのを知らない。
存在が孤高なのを知らない。
愚かという言葉に頼るあんたなんかに、言葉以上の驚異が蝕む感触を知る余地はない。
愚かというのは、人が見て、という条件があるからであって、しかもそれは一般という規範に基付く、それこそ現代には相応しくない条件である。
あんたはその一人にすぎない。
この中に入ることはできない。
特別じゃない。
手首や肩に、手の甲に、とにかく何処にまでも。傷つける意味を知っているか。
知らないのも当たり前だ。
あんたは、愚かじゃない。
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