モラトリアム
誕生日が来たらその瞬間に煙草を吸って、ピアスの穴を三つ開けよう。
同時に髪を切って、それを庭で火葬するんだ。
自分の過去もそれといっしょに、すっきり子宮に帰せばいい。
風呂を沸かして、大好きな音楽を流しながらそれに入る。
そして、カッターで太股に暗示をかけて、水に溶ける赤血球を排水溝に送り出す。
自分がこの世界から疎外されていない事実を受け取る。
風呂から出て、髪が生乾きのまま服を纏う。
薄着の黒い服がいい。
深夜のコンビニでお酒を買って、そのまま髪を燃やした灰に掛けてあげたら、残り全てを体内に取り入れる。
きっと夜明けが近いだろう。
けれど布団には入らずに、音楽を聴きながら、そのまま毛布に包まれる。
そして、東の空をじっと見つめて、朝が来るのを静かに待つ。
そして、最後に。
朝焼けに願いを込めるのだ。
成人式を私は終えた。
今すぐ、大人にしてください。
>
#
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!