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鶴園学園
入寮します




え〜藤峰花梨改め、鶴園花梨になりましたが、学園では“藤峰”と名のることになりました。
宜しくお願いします。




今、現在和敏さんと一緒にリムジンに!乗って学園に向かっている途中なんですが。

かれこれ車に揺られることおよそ2時間30分。
先程、学園の門を通過した筈なのにまだ校舎が見えない。
ま、山道だし坂道だしカーブだし、そこまでスピード出してる訳じゃないけども、門を通過してから10分は経ってるよね?

つまり何が言いたいかと言うと。


「敷地広すぎ…」


ちょっと迷子になったら助かる自信ないんだけどー!と心の中で叫ぶ。


「はは、代々土地を広げていったら広大になってね。迷子になると大変だから学園から出る時は連絡してね?」

笑い事じゃないですから!
………でも和敏さん、帰る時は是非一緒に!!




「到着致しました。」

運転手の中村さんの言葉にハッとして見渡すと、いつの間にか白亜の豪邸みたいな建物の前に車は止まっていた。


「花梨。ようこそ鶴園学園へ。…さっ仕事部屋に行って学園の詳しい説明をするよ。」


立派な建物を見て、改めて和敏さん達に感謝し、何か恩返しをしたいと思った。


「和敏さん…。せっかく入学させてくれた和敏さんの面子を潰さないように勉強頑張るよ。」


「はは、頑張るのはいいけど、メンツとかは考えなくていいんだよ。君はもう私達の子供なんだから。子供は大人に甘える事、いいね?」


(和敏さんって本当に大人だなぁ…)


感動していたら和敏さんに軽く頭を撫でられた。
いつもすることはあってもされたことがなかったし、甘えるなんてしたことなかったから、何だか照れ臭いのと嬉しいので、はにかんでしまった。

そのままエスコートされ、和敏さんの仕事部屋まで来た。


「あっそこ座ってて、今お茶でも淹れるから。」


何でもスマートにこなす和敏さん。きっと和敏さんが淹れるお茶は美味しいのだろう。

――そうあたりをつけた花梨は恐縮だなと思いつつも、美味しいお茶を飲んでみたいという欲望に勝てず大人しく座って待った。

暫くすると隣の部屋からガシャガシャ…………という音がし出し、ん?と眉を寄せていたら。


ああ!
パリンッ

え!?

ガッシャーン


和敏さんの叫び声や派手に食器類を割る音が聞こえ、花梨は慌てて隣の部屋に飛び込んだ。

「…いや、実は家事は苦手でね…。お茶淹れるの任せてもいいかい?手を切ってしまったよ…」


完璧な人だと思ってたけどそうじゃない一面も知り、和敏さんがもっと好きになった。


その後、もちろん和敏さんの手当てをし、お茶を淹れ、片付けをし、学園の説明も受けた。


学園についての大体の説明は済み、今までの事とか話してると、ノックが聞こえた。

コンコンコン

「はい」

ガチャ

「失礼します。理事長、堂島剛君を連れて来ました。」


「ありがとう。ご苦労様。」


最初に入って来た人はスーツをビシッと着こなした、エリート然とした人でその次に入って来た人は、長身の生徒だった。

「花梨、此方ルームメイトになる堂島剛君だよ。」

「はじめまして、藤峰花梨です。宜しく」

「堂島剛。こちらこそよろしくな!」


「じゃ、堂島君案内宜しく頼むよ。」


「はい!」



そのまま俺達は、理事長塔(室じゃないんだって)を出た。
向かう先は勿論、これから暮らす寮だ。




 

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