★ スタホ殺人事件 ★
災難
駿介と伊井は急いで亞穂菜が曲がった角を曲がる。
既に亞穂菜はショッピングモールの入口から中に入ろうとしている。
2人は急いで亞穂菜を追いかける。
『まったくもぉ…』
伊井が情けない声をあげながら駿介の後ろを追い掛ける。
2人が入口からショッピングモールの中に入ると、亞穂菜はエスカレーターで上に向かっている。振り向いて2人に「こっちこっち」と手招きする。
『なんだかなぁ〜(*´д`*)』
駿介が気の抜けた声をあげながら亞穂菜を見失わないように小走りに走る。
3階から4階にのぼるエスカレーターでようやく2人が亞穂菜に追いついた。
『ふう〜っ、やっと追いついたよ…』
駿介が息の上がった状態で亞穂菜に話し掛ける。
『間に合いましたよ』
駿介がニコッと微笑みかける。
『間に合った?何に??』
駿介が亞穂菜に問いかけると、亞穂菜はクルッと振り向いて前方を指差した。
『ん?』
2人が亞穂菜の指差した方に視線を移すと「ドリームシアター」と赤く書かれた看板と、壁に沢山の映画ポスターが貼ってあった。
『え、映画〜』
2人は同時に声をあげた。
チケットを買うために並んでいるカップルがその声に振り向いたほど大きな声を出してしまったようで、思わず2人はバツが悪くなった。
『ギリギリだったけど間に合って良かった〜』
嬉しそうに亞穂菜が微笑んでさっさとカウンターに向かう。
2人は息が上がってぼーっとしている。
『何の映画だ?』
駿介が伊井に尋ねるが
『知るかよ』
伊井が吐き捨てるように答えるが、一瞬間を置いて
『あ゛〜っ俺、これ見たかっんだよ』
と急に大きな声をあげた。
伊井が指差した先には派手なカーチェイスのCMが流れている洋画のポスターが張ってある。
『これ、面白いって評判なんだぜ』
伊井の目が生き生きと輝いてくる。
『ホントにこれかぁ?』
駿介は疑心暗鬼になって伊井に聴く。
『これこれ、これだよ絶対』
伊井が決めつけているが、駿介は亞穂菜が見る映画には思えない。
そこへ亞穂菜が戻ってきて、
『はい、チケット』
と言ってチケットを2人に手渡した。
『え゛〜っΣ( ̄□ ̄)!』
2人が大きな声をあげて仰け反った。
『さあ、行きましょう』
と言う亞穂菜が2人に手渡したチケットには「花より男子F(ファイナル)」とプリントされていた。
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