★ スタホ殺人事件 ★
反応
間もなく高村刑事課長のもとに被害者の情報が届いた。
身元はまだ不明、30歳〜35歳くらいの男性、歯型や指紋から前科者ではないこと、肝心の死亡推定時刻は20時から22時、死因はナイフが胸部に刺さったことによるショック死、薬物などは検出されなかったというものだった。
『被害者の身元はまだわからんか…。』
『まあ、それを調べるのがうちらの仕事ですらかね、課長。』
『その線の洗い出しからだな。』
『死亡推定時刻が思ったより早かったですね…。これならまだ目撃証言とれる可能性ありますね。』
『そうだな、頼むぞ、愚連隊。』
『了解しました、高村課長殿('◇')ゞ』
『その殿はやめてくれよ…。』
『それじゃ、行ってきますよ、タ・カ・ミ・ー』
『おいっ、愚連隊』
轟たち刑事は再び現場付近の聞き込みに出ていった。
『もぉ、轟さんったら課長のことタカミーだなんて…』
荻村が高村にお茶を出しながら話し掛ける。
『まあね。でもあいつとは腐れ縁だから…。』
『腐れ縁って?』
『あいつは高校の後輩なんだよ。』
『へぇ〜、そうなんですか』
『そう、アーチェリー部の後輩。』
『えぇΣ( ̄□ ̄)!ア、アーチェリー』
『そんなに驚かないでくれよ。』
『だって、轟さんがアーチェリーって…。イメージ全然ないですよ』
『あはは、今のイメージじゃな(^_^;)』
『てっきり柔道部だと思ってました。』
『あいつは中学の時に荒れててね。』
『荒れてたって?』
『あれ?荻村ちゃん、知らないの?あいつが『愚連隊』って呼ばれてる訳。』
『え〜?だっていつもぐだぐだしてるじゃないですか…。』
『おいおいあいつは腕のたつ刑事だよ。』
『嘘〜っ。どこがですか』
『あいつは中学の時にどうしようもない連中と連んでてね。よく警察の世話になってらしいよ。』
『詳しいんですね、課長。』
『あぁ、オヤジが横浜城南署の刑事課長の時によく面倒みてたんだよ。』
『へえ〜。』
『彼のオヤジさんがうちのオヤジに相談に来てね。どうしたら息子が立ち直れるかって。』
『そんな付き合いなんですか…。』
『あぁ、あいつが中学3年のときにオヤジが家に連れてきてさ。そしたらオヤジが俺の部屋にあいつ連れてきて『面倒見てやれ』って。』
『いきなりですか?』
『あぁ、いきなり(笑)俺もどう対応していいかわからなくて、お互い部屋の中でだんまり。そこで部屋の中にあったアーチェリー見てあいつが『これ何ですか?』って。』
『ふう〜ん。』
『そのあとアーチェリーの説明したら興味持ってくれてさ。で、俺のあと追い掛けて横浜極東学園に入って来たんだよ。』
『え〜っΣ( ̄□ ̄)!極東って偏差値72とかじゃなかったでしたっけΣ( ̄□ ̄)!』
『あいつ、頭は抜群に切れるよ(笑)』
『し、信じられない…。』
『まあ、今のあいつしか知らなければね(^_^;)そう、あいつをうちの署に呼んだのも僕だよ。』
『へえ〜っ、人は見かけによらないですね。でも何で轟さんは今もヒラの刑事なんですか?そんなに頭いいのに…。』
『あいつは出世には全く興味ないからな。自分の足で飛び回る今の刑事の仕事が性に合ってるっていつも言ってるよ。』
『へえ〜っ、意外なんか格好いいかも』
『ダメだよ、荻村ちゃん、あいつに惚れるなよ。』
『やだぁ〜、課長ったら』
パチンと音がして荻村が高村の背中を回覧板で叩いた。
『うっア、アチチ』
勢い余って高村が口にしていた湯呑みからお茶がこぼれた。
『おいっ、荻村くん…って…。』
高村が声を掛ける前に荻村は鼻歌を唄いながら刑事課を出て行った。
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