★ スタホ殺人事件 ★
開戦@
駿介が亞穂菜に見せたスタホノートには「出すよ」と殴り書きされていた。
亞穂菜はニコッと笑って自分のサテに戻って行った。
居闇がこのやりとりを聞いていたかどうかを、駿介は気にしなかった。
ぶつかる時はぶつかるし、ぶつからない時はぶつからない。駿介は割り切っていた。
単騎出走が叶うならそれに越したことはない。しかし、居闇以外に皐月に直行してくるプレイヤーもいるはずだ。
つまり、出走を控えても、次が保証されている訳ではないのだ。これが駿介のサブ店舗なら別なのだが…
駿介は『シグマヴォルテクス』を一旦放牧して皐月に備えた。
相変わらず隣の居闇は、根拠のないスタホ理論を神戸と繰り広げていた。
「かちあったらどれくらいのオッズが付くだろうか。居闇の馬にオッズで勝てるのか?」
あれこれ考えながら、駿介はWBCSのレースを大画面モニターでボーっと見ていた。
隣で居闇が
『ピラミッドピラミッド』
と子供のようにはしゃいでいる。自分の馬が出走していない上に、サイドもしていない。
居闇は騒いだが、結局レースは@着サンデーサイレンス、A着にシガーで決着した。
『出してたらプレイヤー馬勝ってたよ出せば良かった』
居闇がレース後に得意気に話していたが、居闇の今の手持ちの馬で青又は黄色でWに出走可能な馬はいないはずである。
「赤ででも勝つつもりなのか?」
駿介は思わず笑ってしまった。
シミュレースが始まり、皐月の出走登録を見ていると『レッドブルータス』が予想通り登録してきた。
駿介はゆっくりと『シグマヴォルテクス』を皐月に登録した。
桜花賞の時にそーっと居闇を見ていると、登録状況のところで居闇の表情が固まったのを見て吹き出しそうになった。
そして運命の皐月。
オッズは2倍後半を想定していたが、パドック画面で『シグマヴォルテクス』のオッズは@番人気で2.4倍を示していた。
「お〜っ、上回ったか」
隣でぶつぶつ居闇がボヤいていたが、駿介は完全無視を決め込んでいた。
『シグマヴォルテクス』2.4倍
『レッドブルータス』2.7倍
ほかに皐月直行の22倍と28倍のプレイヤー馬が出走していた。
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