★ スタホ殺人事件 ★
鮮烈
きさらぎ賞は『レッドブルータス』が早捲りじゃないかと思えるようなペースで捲り、最後垂れるかと思わせておいて、見事にぶっちぎって圧勝してしまった。
隣の居闇の口からは次々と得意気な言葉が飛び出す。
『やっぱりW馬の仔馬は走るよ!』
『この馬に勝てる馬なんていねぇ〜よ!』
『どんな馬だろうと蹴散らしてやる!』
聞かされている神戸が可哀想になるくらいだ。
『これでダービー貰ったぜ!』
まだまだ続く居闇のマシンガントークに嫌気が差したのか、神戸はそそくさとトイレに向かって難を逃れようとした。
「まぁ、気持ちはわかるけどな…」
駿介は思わず神戸に同情してしまった。
「さて、どうしたものか…」
駿介は悩んだ。
前回、配合だけしておいた期待馬をここで発動すべきか…。
できればプレイヤー馬と重ならずに出したい気持ちが大きいが、調子に乗った居闇を叩き潰したい気持ちもある。
現時点で駿介の厩舎状況を見てみると
@シグマヴォルテクス(牡馬)
父:弥生2.8倍@着
W3走全8走
ラスト秋天1.5倍@着後全漬け
母:弥生2.8倍B着
桜花2.5倍@着後全漬け
Aシグマジャイヴ(牡馬)
弥生3.2倍A着(P4.0倍、5.1倍)
W1走全7走
ラスト宝塚2.3倍@着(P2.9倍、2桁1頭)残り全漬け
Bラムダティラミス(牝馬)
マイラ4.5倍C着
オール4.0倍A着残り漬け終わり
Cタキシードマキシマ(牡馬)
シグマヴォルテクスを発動させようとしていたのだが、シグマジャイヴとラムダティラミスの配合で打って出るというのもありか。
しかし、駿介はシグマヴォルテクスを発動することに決めた。
問題は弥生かスプリングどちらに出すかだ。
「弥生に居闇が出してきたらスプリングで出すか。」
そう決めて弥生賞の登録状況を見ると、『レッドブルータス』の登録があった。
「スプリングは出さないとみた!皐月のガチンコなら負けない!」
やがてレースは弥生になり、『レッドブルータス』は2.1倍のオッズを付けていた。亞穂菜が『ピンクサファイア』を4.4倍で出走させていた。
レースは『ピンクサファイア』と『レッドブルータス』が同時に捲りはじめたが、勢いは『レッドブルータス』が勝っていた。
直線押し切った『レッドブルータス』が無敗の5連勝を達成し、『ピンクサファイア』は4着に敗れた。
ほかのプレイヤーはたまたま古馬でフェブラリー、高松宮に出走する馬が多く、2レースともにエントリーが満杯になる状況で、3歳馬は奇跡的にこのクールは少ないようだ。
駿介は『シグマヴォルテクス』をスプリングに登録した後、注意深く他馬の登録状態を見ていたが、最後までほかのプレイヤー馬の登録はなかった。
駿介の読み通り、『レッドブルータス』は皐月に向かうつもりなのだろうか。
高松宮はみさきさんの『アメージングステップ』が勝ち、亞穂菜が嬉しそうにみさきさんに話し掛けていた。
いよいよ『シグマヴォルテクス』の出陣だ。
『うおっ!』
思わず隣の伊井が声を上げた。
『シグマヴォルテクス』のオッズは2.6倍を示していた。
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