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★ スタホ殺人事件 ★
足で回るB

轟と町田は一旦署に戻った。

『課長、何か新しいネタ入ってますか?』

轟は刑事課に戻るなり高村に尋ねた。

『いや、まだ何も上がってきてない。』

高村の口が重い。

『そうですか…。』

轟も期待はしていなかったが、やはり何も手掛かりがないとなると気が重くなる。

『荻村ちゃん、荻村ちゃん、何と何と、轟先輩が恋患いしてるかもよ〜

町田が刑事課に戻ってきた荻村を捕まえてニヤニヤしながら話し掛ける。

『え〜っ、轟さん好きな人いるんですかぁ〜

『何かねぇ、喫茶店でボーっと物思いに耽っちゃってたりなんかするんだよ〜。あれは絶対に女だね。』

『轟さんが物思いに耽るぅ〜?

『でしょ、でしょあの轟さんがだよ〜。』

『でも轟さんが女性のことで物思いに耽るなんて…。』

『え〜っ、俺の言うこと信じないの?だって喫茶店でこうやって窓の外を…』

ガツン

『いってぇ〜っ

『誰が物思いに耽ってたって?』

轟が町田と荻村の会話のやりとりに気づき、町田の背後からガツンと拳骨を町田の頭に落とした。

『ほ、ほ、星が出てるぅ

『何をバカなこと言ってんだよちゃんと今までの資料チェックしとけよ

『あっ、は、はい…。い、いてぇ〜

轟に怒鳴られて、町田は頭を撫でながらバツが悪そうに自分のデスクに戻る。

『あのぉ…轟さん、何か悩み事でもあるんですか?』

荻村が抱えていた書類を両手で抱えて口元を隠すようにしながら轟に尋ねた。

『えっ?悩み事?俺が?』

『ええ…』

『ないない俺に悩み事などないっ

『そ、そうですよねす、すみませんでした

荻村は照れた様子で奥の書庫に向かっていった。

轟は少し迷っていた。このまま聞き込みを続けるべきかどうかを。

何か忘れているのではないかという、ただ漠然とした思いだけが頭の中で蠢いていた。

『でもどっからとっかかればいいのか、正直あてがねぇからなぁ…。』

轟は1人ぶつぶつ言いながら自分のデスクに戻った。

小一時間ほどして轟は

『やっぱダメだわ

と怒鳴ると、デスクを両手でバンッと叩いて立ち上がった。

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