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★ スタホ殺人事件 ★
気晴らし

伊井が話し始めるのを駿介が制した。

『俺、今日はもう何も考えたくないわ…。』

『えっ?』

『頭、空っぽにしたいから…。』

『そ、そうか…。』

『誰がやったのかは絶対探し出すけど、見つけたからってヴォルテクスが戻ってくるわけじゃねえし…。』

『確かに…な…。』

2人の会話は重く暗いものとなった。

駿介さん…。』

暗い顔で 立ち話をしているのを見つけて亞穂菜が話し掛けてきた。

『あぁ、亞穂菜ちゃん。馬の調子はどう?』

駿介が作り笑いを浮かべて尋ねる。

『悪くはないけど…。』

『けど?』

『だって、あんな馬、他の人じゃ作れないのに、それを消しちゃうなんて…許せない。』

『気を遣ってくれてありがとう。だけど、あんまり気にしないで。』

亞穂菜の心遣いはとても嬉しかったが、あまり周りに迷惑もかけたくない思いが駿介にはあった。

『さてと、憂さ晴らしにでも行くか

駿介が両手を伸ばして伊井に話し掛けると

『あ〜っ、それ賛成あたしも行く

と、亞穂菜が真顔で答えた。

それを見て駿介伊井がぽか〜んと口を開いたまま動けない。

『じゃあ、あたし、サテ片付けてきます

亞穂菜は嬉しそうにサテを片付けに戻る。

微動だにせずに見送る2人…。

『おい、亞穂菜ちゃんの考えてる気晴らしって…?』

『恐らくうちらが考えてる気晴らしと同じ…訳ないよな?』

『パチスロやるとも思えないし、「八兵衛」ってことも…ないわな

伊井が口にした「八兵衛」は、オートレース場側の焼鳥屋である。

2人は亞穂菜の言う気晴らしが何であるのか、全く持ってわからない。

そうこうしているうちに亞穂菜がサテを片付けて戻ってきた。

『あれぇ?何2人してボーッとしてるんですか?早く早く

亞穂菜に急かされ、2人は慌ててサテを片付けた。

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あきゅろす。
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