★ スタホ殺人事件 ★
疑惑@
駿介は亞穂菜に動揺を隠せないまま、心臓がバクバクしていた。
亞穂菜は伊井のところに行って
『駿介さんたらひどいんだよ〜。あたしの顔見るなりずっこけるんだから〜。』
とほっぺを膨らませて報告する。
『え〜っ、そりゃひどいなぁ〜。』
伊井が笑いながらそう答えたのを見て「おいおい、同調すんなよ…」と駿介は苦笑いするしかなかった。
『ったくよ』
その時、左隣の居闇が吐き捨てるように言葉を吐いてサテを立ち上がった。
「おっとっと、刺激しちゃいけないいけない…。」
駿介は居闇の機嫌が極めて悪いのを思い出し、自らを戒めた。
『WBCMに行くのか?』
駿介が伊井に尋ねると、
『イケイケで行っちゃおうかと(^^ゞ』
ご機嫌な答えが返ってくる。
『お前、浮かれ過ぎ』
『そお?』
駿介の言葉にも伊井は意に介さずニコニコしながら馬を撫でている。
「気持ち悪いなぁ…。」
デレデレの伊井を見ながら呆れていた。
そんなことをしているうちに居闇がカップにてんこ盛りになったゴールドメダルを抱えてサテに戻ってきた。
「ひょえ〜羽振りがいいねぇ、居闇の奴。」
あの量だと7,000枚分くらいはあるだろう。
「預けどんだけあんだよ…。」
ため息をつきながら、駿介はゆっくりサテに視線を戻した。
『すみません、鈴成さんから電話貰ったので…。』
早間くんがそう声を掛けてきた。
振り返ると早間くんが立っていた。
『あっ、早間くん。』
そう言ってサテを立ち上がった。駿介はサテの後ろに立ち、早間くんと向き合う。
『忙しいところゴメンね。鈴成さんからどこまで話聞いた?』
駿介が早間くんに尋ねると
『駿介さんがサテにいない間に馬が消えたと聞きました。』
『そう、なら話しは早い。俺とこいつがトイレに行っている間にサテの掃除しなかった?』
駿介が手短に尋ねる。
『僕が掃除しましたけど、駿介さんのサテは掃除したばかりだったので、ホントにサッとサテ画面拭いただけで、特に変わった感じはしませんでしたよ。』
『サテ画面切り替わらなかった?』
『はい。競馬場画面のままでした。』
『ほかに誰か俺のサテ触って居る奴いなかった?』
『ずっとスタホ2見ていた訳じゃないからわかりませんが、僕が知る限りでは誰も見ませんでしたよ。』
駿介が期待した答えは得られなかった。
『ありがとう。』
『馬消しちゃう人がいるなんて…。すみません、お力になれなくて。』
早間くんが深々と頭を下げたので、駿介は逆に申し訳なくなり
『いやいや、こっちこそ疑ったような聴き方してゴメンね。』
と言ってサテに座った。
「早間くんが知らないとなると、やっぱり何か知ってそうなのは居闇くらいしか居ないよな…。」
駿介の疑惑は再び居闇に向けられることになった。
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