★ スタホ殺人事件 ★
驚愕
駿介がブルースカイに入ると、店長のえまさんが出掛けるところだった。
『どこ行くの、店長?』
『ちょっとグリーンプラザに行ってくるよ。』
『さすが店長、忙しいね。』
えまさんはニコッと笑ってブルースカイを出て行った。
店内に戻るとレースはJCDだった。
サテを見回すと亞穂菜の前の5番サテにみさきさんが座っていた。
「ラッキー!ここは亞穂菜ちゃんのスタホの先生は、みさきさんにお願いしちゃおう!」
駿介は亞穂菜の先生役をみさきさんにお願いすべく、みさきさんのサテに向かった。
みさきさんはブルースカイで唯一、怪物を作れる女性プレイヤーで、駿介とも時々話をする常連さんである。
『みさきさん、お願いがあるんだけど…』
突然後ろから駿介が声を掛けたため、少し驚いた表情を見せたが、みさきさんは心よく亞穂菜の先生役を引き受けてくれた。
亞穂菜に声を掛け、みさきさんに紹介し、2人が話し始めたところで駿介は自分のサテに戻った。
ちょうどJCのタイミングだったが、居闇の『トロッコトロトロ』が出走しており、成績を見るとGT2連勝となっていた。恐らく秋天かマイルCSで勝ったのだろう。
しかし、育成派のプレイヤーなら怪物で3権狙う奴などいないが、さすがに居闇、育成派とは全く違うローテを組んでいる。
『トロッコトロトロ』のJCのオッズは1.8倍。
レースは綺麗に捲った『トロッコトロトロ』が圧勝した。
駿介と伊井は苦笑いして顔を見合わせたが、事はそれで収まらなかった。
居闇は『トロッコトロトロ』を香港カップに出走させ、GT4連勝をやってのけ、更にWBCTに4権で出走し、3.5倍で橋捲りを決めて勝ってしまったのだ。
完全にブルースカイの雰囲気は居闇の独壇場となり、育成派の何人かのプレイヤーは、駿介と伊井のそばを通ってトイレに行く際に「お手上げ」のポーズを2人に見せて行った。
駿介は次のクールで期待馬を走らせることに、少し躊躇いを感じ始めていた。
レースが金杯になったところで駿介はトイレに行くために席を立った。
駿介がトイレを終えて洗面台で手を洗っていると、伊井が小走りにトイレに駆け込んできた。
『お前もかよ。』
駿介が掛けた声に伊井は妙な微笑みを返して用を足しに行った。
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