★ スタホ殺人事件 ★ 休息 駿介と伊井はブルースカイを出てすぐ前にあるラーメン屋に入った。 駿介は豚骨ラーメン、伊井は酢豚ラーメンを頼んだ。 『三冠惜しかったな。』 駿介がラーメンができるまでの間の話題を切り出した。 『あぁ、ハナ差だったからな〜』 伊井はあまり悔しそうなそぶりを見せずにあっさり答えた。 『まぁ、プログレスと違うしな。』 『あぁ、ダービーで完全制覇できたからいいよ。』 伊井は完全制覇したことで、三冠にはあまり固執していなかったようだ。 『次、あれ出すの?』 伊井が駿介の期待配合馬について訊いてきた。 『うん、次に仕掛けるつもり。』 『そうか、先にダービー勝っておいて良かったよ。』 伊井が苦笑いしながら答えた。 頼んだラーメンができあがり、短い時間でかき込まなければならないので、2人はそこから無言でラーメンを食べた。 『お勘定ここに置いておくよ、店長。』 駿介がそう言ってラーメン代を席に置いて外へ出た。 『いつも思うけど、酢豚ラーメンて旨いのか?』 駿介が訝しげに伊井に訊いた。 『あったり前よ!すっげー旨いんだぜ、今度食ってみろよ!』 『そうなのかなぁ…』 駿介が首を傾げていると 『信じなさ〜い!』 と言って伊井が駿介の背中をパチンと叩いた。 『痛えなぁ…』 涙目になりながら駿介は笑った。 『さて、戦場に戻りますか!』 明るく気合いを入れる伊井の後ろから駿介が笑いながらブルースカイの中に入っていった。 ちょうどその時、外はにわかに厚い雲に覆われ、暫くして大粒の雨が落ちてきた。このあとの波乱の前触れのように激しく… [←][→] [戻る] |