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ウィザード


なんとか教室に生還して、そのまま授業が始まってしまったのでおれたちはばらばらになってしまった。
午後の授業は属性別に別れることが多いので、次に会えるのは放課後だろう。

部屋に帰ったらタイガに改めて何があったのか聞いておこう。

おれはそう胸に誓って、そわそわしながら授業を受けた。
なぜだか、嫌な予感が収まらない。

アキト、大丈夫だったかな。
いくらアキトが一匹狼の不良で影ながら人気のある生徒だとしても、生徒会の面々に対してタメ口をきいたりしたら反感を買うんじゃなかろうか。
あ、そうか。
買ったとしてもアキトが強いからおいそれとは手出しできないのか。
ほんと、頼りになる友人だ。

「シイバ君?聞いておるかの?」

「うぇ、あ、はいっ」

「聞いてないようじゃからもう一度言おうかね、」

先生の指摘にクラスの何人かがくすくす笑った。
今は属性別授業なので、風属性の先生が教壇に立っている。
ジルフェと人間とのハーフでベテランおじいちゃん先生のリーフ・ラーアウィ先生。
糸のように細い目はまだ優しげなのでほっとする。
この先生、いつもは優しいけど怒るとすごい怖い。
自由気ままでいつも騒がしい風属性のクラスメイトが一瞬で凍りつくほどの迫力だ。

おれは思考を切り替えてひとまず先生の話に集中した。

でも、あのときのアキトの優しい微笑が、脳裏に焼きついて離れない。

悶々としながらも何事もなく授業を終え、HRのために教室に帰ってきたおれは、ひとまず安心した。
昼休みにはすっかり疲れきってぐったりしていた幸仁とタイガは少しだけ回復している。
HRのあと、タイガはテスト明けに再開した部活に顔を出すとかで分かれてしまったので、幸仁とおれとカイロスの3人で寮まで帰る。

食堂の事件はおれの部屋でゆっくり話してくれるらしい。
情報通のカイロスの協力の下、対策を練っていこうということだ。

部屋に着くなりカイロスははしゃいでタイガの部屋を物色したりおれのベッドの下をごそごそ漁ったりしていたが、結局お目当てのものは見つけられなかったらしくすごすごとリビングに帰ってきた。
幸仁はといえばだらしなくソファに寝そべってだらだらしている。
その珍しく疲れきった様子にようやくまじめに話を聞く気になったカイロスが腰を下ろしたので、おれは口を開く。

「さてと、幸仁、疲れたかもしれないけどさ、話してくれよ。傾向と対策を考えなきゃ」

おれが促すと小さく頷いた幸仁がのろのろと体を起こした。

「うん、ごめんね、心配かけちゃって」

申し訳なさそうにつぶやいた幸仁はようやく事の顛末を話し始めた。



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あきゅろす。
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