長編 
44-特訓と外出

シルバ、もう少しで帰るから。


Euphorbia milii
ー特訓と外出ー


『カイン、帰ってきたな』
「…うん。帰ってきたよ。
 でも、ごめん。もう少しだけ待っててくれ」
まだ帰れない。
みんなの動向を決めてからじゃないと。

『分かってる。ゆっくり来い。
 あぁ…あと、向かえに1人やった』
「ん…?うん。分かった」
執事かな?
今だと、俺が知ってる人いなさそうだなぁ。

『気をつけてな』
「今度はちゃんと帰るよ。大丈夫」
『…待っている、カイン』

「うん。じゃぁ、また後で」
『あぁ』

電話を切り、少し微笑む。
執事が来る前に動向決めなきゃな。


少しだけ重い扉を押して、家の中に入った。

「あ!お帰り、カイン」
ゴンが始めに気づき、こちらを向いた。
「うん、ただいま」

…えーと。

「みんなのその格好は、何?」
重そうな着衣を着けている3人に問いかければ、レオリオがにやりとしたのが見えた。

「ここで特訓させてもらうことになったんだ」
「特訓…?」
「「あの門を開けるための!」」
ゴンとレオリオがハモり、クラピカがそれに頷いた。

カインは何度か瞬くと、ゼブロに視線を移す。

「大丈夫です。任せてください」
ゼブロは自信に満ちた表情をしていた。

…もしかして…。

いや、今はこっちが先だ。

「いつまで特訓するつもりなの?」
「観光ビザギリギリまでには門を突破するつもりだが」
クラピカの答えに数度頷き、カインは“なら”と口を開いた。


「俺は少し出かけてくるよ」


「え?」
「は?」
「…そうか」

ゴンとレオリオの驚きの声に反して、クラピカは予想していたのか冷静だった。

「俺の方も約束があってね。帰らないといけないんだ」
まぁ、実際は既に敷地内だけど。

「えぇー?カイン、行っちゃうの?」
「悪いな、ゴン。みんなが門を突破する頃には戻ってくるから」

残念がるゴンの頭を撫で、クラピカとレオリオに視線を移す。

「俺が帰って来る前に突破しそうになったら連絡くれ。すぐに駆けつけるから」
「了解した」

クラピカの答えに1つ頷いて、軽く手を上げた。

「じゃ、行ってくる」

「よっしゃ!ゴン!カインが帰って来る前に必ず門突破しようぜ!」
「うん!」

ふふ。
頑張ってくれ。


「カイン」
「クラピカ?どうした?」
声を潜めたクラピカに、カインは首を捻る。

「……弟と会ってくるのだろう?
 気にせずゆっくりしてくればいい」

…!

クラピカの言葉に、目を見開いてしまった。
あれ?
俺、そんなこと言ったっけ?

「俺が弟に会いに行くなんて、一言も言ってなかったよな…?」

「分かるさ。カインが弟を大事にしていたからな。
 私の予想では試験が終わったらすぐに行くのかと思っていたのだが、こちらに付き合ってくれただろう?」

…クラピカの観察力、侮ってたみたいだな。

「ゆっくりしてこい。
 会える間に、会っておけ」
「…ありがとう、クラピカ。
 行ってくるな」






Dear シルバ

お待たせ。シルバ。




ーあとがきー
ようやく本邸に行けます。
さぁ、次回はシルバに会えるのか?!

管理人わくわく中ですww











[*前のお話へ][次のお話へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!