長編 
41-壁

開いた扉は3の扉で…。
あぁ、もう少し力を抜けば良かったと、今更に後悔した。


Euphorbia milii
ー壁ー


バタンと閉まった扉は、再び壁として立ちふさがった。

「すっごーい!!本当に開けちゃったー!」
「はぁー…こりゃ凄い…」
ゴンの歓喜の声とゼブロの驚嘆の声に、カインは苦笑いで応えた。

「そんな細腕で、どうやったら開けられるんだよ…」
「全くだ…。カインには毎度驚かされる…」
レオリオとクラピカのため息混じりの言葉に、苦笑いを固めるしかない。

「まぁ、カインが強いことは重々承知済みだからな…」

クラピカの一言に、レオリオも、確かに、とうなずいた。

「…さて。いいですか?
 カイン君は別格としても、中に入るだけでこの調子だ。
 住む世界が全く違うんですよ」

その通りだ。

カインは心の中で同意する。

「まぁ…カイン君が開けている間に入るのであれば、ミケからは襲われませんが…」

ゼブロが自分に視線を向けたことに気づき、カインは首を横に振った。

「俺が開けて、中に入れてあげるのは容易いだろう。
 …でも。
 キルアと対等に付き合っていくというなら、この扉をクリアした方が良いと、俺は思う」

いくら君達がキルアを思っていても、力がないなら一緒にいられない。

それが、こちらの世界の掟。
君達とキルアの、1つ目の壁。

「でも、友達なのに試されるなんて…」
「友達だから、だよ。
 キルアと一緒にいるなら、キルアと同じ目線に立ちたいと思わないか?」

「……」


仕方ないなぁ…。

押し黙ったゴンの頭を軽くなで、中に繋がる電話は無いのかとゼブロに聞けば、執事室に通じる電話があるという。
運良くゼノ様に繋がれば…と漏らしたゼブロは、早々に電話を掛けてくれた。

おそらく執事に怒られるであろう、それを待つ間、カインは小さくため息を吐いた。


ゴンには、まだ分からないんだろう。
家族を思う大切さが。

こんな危険な生業だからこそ、過保護にもなるということを…。


「いやー…怒られちゃったよ…」

予想していた通りの結果を持って、ゼブロはすまなそうに守衛室を出てきた。

まぁ、当然そうなるよな…。

すると、ゴンが自分も電話する、と受話器を取った。

どんな事情だろうと、主から許しの無い者を邸内に招く執事は、うちの家にはいないだろう。
多分、冷たくあしらわれるよな…。
…落ち込むかな…?


「いいからキルアを出せ!!」


び、びっくりした…!
クラピカもレオリオも変なポーズしたまま固まってるし。

電話機越しに何かを言われたゴンは、なにも言わずに外に出ていった。

あれ?
何か物凄い怒ってる?

「ゴン?」

門を見据えたゴンは、釣竿を手にしていた。
ぶんぶんと軽く振った後、門の向こうへと勢いよく針を投げ込んだ。






ーあとがきー
家主が帰ってきた時に、試しの門の前に観光客が沢山いたら、凄い入りづらいだろうなぁ…(笑)

シルバとか、ビックリして隠れてたら良いww














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あきゅろす。
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