長編 
40-試しの門


守衛…ゼブロに守衛室に通され、今現在、事情を聞かれている。

“君達は何のためにここに来たのか?”

“友達です”というゴンの答えに、ゼブロは嬉しそうにお茶をすすった。


Euphorbia milii
ー試しの門ー


「なるほどねーキルア坊っちゃんの友達ですかい。
 うれしいねぇ、わざわざ訪ねてくれるなんて。
 20年勤めてるけど、友人としてここに来てくれたのは君達が初めてですよ」

まぁ、外に興味がないから、仕方ないかな。
俺も外に友達なんていなかったし。
しかし、20年か。
俺が眠った10年後。
シルバは、その時当主、なんだよな…。
なんか不思議。

「しかし、君らを庭内に入れるわけにはいかないんです」

ゼブロは、門の鍵を渡せばそこから入り、ミケに食い殺されてしまう。
だから、この鍵は渡せない。
と首を振るった。

あの門は正門じゃないからな。
大方…ミケには、こっちの門から入った奴は噛み殺せ、っていう命令を与えたんだろう。

「正門には鍵がかかっていない…!」

クラピカが行き着いた結論に、レオリオは一目散に走り、門を押した。

「押しても引いても左右にも開かないじゃねーか!」

「上にあげるんだったりして」
ゴンの提案もやってみるが、全く動かない。

まぁ、無理だろう。

「単純に力が足りないんですよ」
「アホか―!!全力でやってるってんだよ!」

レオリオの叫びに、俺はひそかに笑ってしまった。
うちの家族との全力の度合いが違いすぎる。

「カインも笑ってないで手伝え!」
「え?俺?」

やってもいいけど、扉開いちゃうんだよな…。

「…ゼブロ…さん、あなたは開けられるんだろ?
 見せてあげれば良いんじゃないかな?」
危ない。
うちの使用人だから、呼び捨てにするところだった。

「?…良いでしょう」
上着を脱いだゼブロは力を込めて扉を押した。

辛うじて1の扉を開けると、すぐに身を引いてこちらに戻ってきた。

「年々、これがしんどくなってきてねぇ。
 でも開けられなくなったらクビだから、必死ですよ」

そうだろうな。
そのご高齢じゃ大変だろう。
ネテロ会長とかを基準にしちゃいけないよな、うん。

「ちなみに…キルア坊っちゃんが戻ってきた時は、3の 扉まで開きましたよ」

ほぅ。まぁまぁだな。

「3…ってことは、12トン!」

「「…16トンだよ、ゴン」」

俺とクラピカの突っ込みが被ったところで、クラピカは俺の顔を凝視した。

「クラピカ?何だ?」

「…カインは、開けられるのか?」

…。
せっかく隠したのに、意味無くなっちゃったな。

俺が、ため息混じりに頭を掻けば、レオリオが口をパッカリと開けた。

「なにぃ?!開けられるのか?!」

「…一応」

「カインすごーい!!」

ゴンの純粋な瞳が地味に痛いよ…。

その瞳から逃れるように、俺は扉に手をかけた。




ーあとがきー
守衛ゼブロさんを呼び捨てにさせないと、ゾルディックじゃないと、途中で直しました…。
ゼブロさん、使用人だもんね。









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あきゅろす。
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