長編 
27


青と灰
Part27


「申し訳ありませんが、紫煙君は今まで受けていない授業を個別に受けていただきます」

…新入生代表君、もとい、奥村先生はにこやかにそうのたまった。

「(俺一人のために授業とか、どんだけ面倒見良いんだよ)」
「みんなのレベルに追い付くまではかなり大変だと思いますが、僕も出来る限り協力します。
 頑張って行きましょう」

「はぁ…」

なんだか…忍耐強そうだな、この人。

『苦手な勉強のお時間だぜ。頑張れよーカイン』
「他人事だと思って…」

「?何か…?」

「…いえ…」

しまった。
また口に出してたのか。

奥村先生を見やり、一つ息をはいた。

「やると言ったからには、それなりに頑張ります。

 ただ…」

「ただ?」

そう、問題が1つある。

「俺、そこまで頭良くないですよ?」
この学校もギりで入ってるからな。

「…酷いのが、1人いますから、心配には及びませんよ」

「…」
引き吊った笑顔を見せる奥村先生が、なんとも不憫に見えた。
何があったんだろ…?

「さぁ、これがテキストです。始めましょうか」

「…。…はい」

手渡された大量のテキストに早くも後悔しつつ…それでも、ここからだと、気を引き締めた。


「(サタン、俺は祓魔師になる。

 それでも。サタンは傍にいてくれよ)」

『…たく、しゃーねーな』




***




「…あの人、まじで悪魔だ…」
一通りの講義を終え、ようやく帰宅が許されたカインは、自室に着いた瞬間にへたりこんでしまった。

分かりやすい講義のために、随分勉強は進んだが、如何せんカインの頭の容量が一杯になってしまった。

「しかも、詰め込むまで詰め込んで、これは宿題って…
 殺す気か!」

帰り際に持たされた紙袋の中身は、なかなかにずっしりと重く、カインは深々とため息をついた。

「(サタン、手伝ってー)」
『俺に頼むって、お前なぁ…』

良いじゃんー
悪魔事情は悪魔の方が知ってるだろ?

『じゃ、まずは風呂に入って、飯を食ってからだな』

え?そんなことしたら…

「(眠くなりそうなんだけど)」
『安心しろ。この俺様がみっちり教えてやるから』

サタンの笑みが、酷く悪どかった気がする。
奥村先生が宿題を渡す時と似てるような…そんな気がしないでもない。

「(…お手柔らかに)」


うーん…
教わる相手、間違ったかもしれない…。





ーあとがきー
復帰しました!
とかいいながら、短いのはご了承あれ。
どうしても、区切りが分からなかったんです。
次はメンバーに絡んでいきますよー
授業参加が楽しみですね。







[*前のお話へ][次のお話へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!