長編
２５
「（眠ぃ…）」
青と灰
Part２５
次の日のことだ。
俺の部屋を激しくノックする音が響いた。
「（誰だよ…）」
…というか、俺を訪ねる奴なんて、いないよな。
うん。
無視して、寝よう。
コンコン！
…ドンドンドン！
「（…）」
ドンドン！
ドンドンドンドン！
ドンドンドンドンドンドン！
『おい、カイン…ドアが壊れそうだぞ？』
「（…仕方ないか…）」
のそりと起き上がり、未だ激しく叩かれているドアの前に立つ。
『こんなに叩く奴って誰だろうな？』
「（さぁな…）」
よし。じゃぁ。
勢いをつけてドアを開け放った。
ガンッ！
何か変な音がしたが、気にしないぞ。
「朝からうるせぇ」
「何すんの、カイン君！痛いやないかー」
あれ？
こいつ…。
ピンク頭…志摩、だっけ？
「覚えとってくれたん？！そうや、志摩廉造や」
…やべ。声に出してたか…。
「こんな朝から何のようだ」
「奥村先生が“連れてきてくださいね”って、電話してきたんや」
奥村先生？
新入生代表君のことか？
しかし…何で俺？
そして、何でこいつ？
「志摩、早しぃ」
そう言って志摩の頭をがしりと掴んだのは、確か…勝呂。
「坊〜、痛いですわ…」
「紫煙、さっさと来ん」
「あ、無視せんといて下さい！」
じゃれている二人を眺めながら、カインは首を傾げた。
どういう事だ…？
教えてないし、札もないのに…。
「なんでお前ら俺の部屋知ってるんだ…？」
まさかストーカーとか言わないよな。
「奥村先生が教えてくれたんや」
「聞いて驚きましたわ。案外近くにいてはったんですね」
勝呂の返答に付属して、猫君が口を挟んだ。
こいつらの部屋、近いのか…？
面倒なことになりそうな予感が…。
「紫煙、さっさと着替えんかい」
「…何故？」
「塾や、塾」
祓魔師の？
いや…いやいやいや。
俺、関係ない！
「俺は祓魔師にはならない。だから行けない」
「…そない意思が固いなら、直接理事長にでも言うたれ。
わいらはお前連れて来い言われただけや」
…ぉお…正論、かも。
「（仕方ない。サタン、出掛けるぞ）」
『あぁ？メフィストに殴り込みか？』
「（ははっ。それに近いな）」
勝呂のことを睨みつけるように見つめ、踵を返した。
「ちょっと待ってろ」
＊＊＊
「というわけで、祓魔師の件、丁重にお断りさせていただきます」
ニッコリ笑顔の俺に、理事長は目を見開いていた。
勝呂達の後に続いて部屋に入ったら、まさか教室に出るなんて思わなかったが…。
それよりも。
その場にいた理事長が目に入って、俺は行動を起こした。
それが冒頭。
「何が“というわけ”やねん！全く話の流れがないやないか！」
うぉ…横槍が…。
勝呂の突っ込みには応じず、理事長の返答を待つ。
「…紫煙君。君は祓魔師になりたくはない、と？」
「そうです。
俺は悪魔が嫌いなわけじゃない。だから、退治するのは憚られる」
「つまりは戦力にならないから関わるな、というわけですか」
「えぇ」
話が早くて助かるな。
「ふむ、残念ですねぇ…。
君の両親は、立派な祓魔師だったというのに」
…え…？
「何…？」
祓魔師？
俺の両親が…？
悪魔を倒す存在、だった…？
「おや？知らなかったのですか？
あなたのご両親は、祓魔師でした。とても優秀な…」
理事長の話が耳から耳に流れて、頭に入っていかない。
今、頭にあるのは、黒いコートを羽織った両親の姿…。
―あとがき―
うわ、またシリアスで終わってしまった(゜Д゜;≡;゜Д゜)
早めに次の話をＵＰします。
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