長編 
19

必死なのとか、邪魔したくなるんだよ。
俺、あまのじゃくだから。


青と灰
Part19


さて…。


……。


………。


「(…サタン。俺、今気づいた)」
『あ?』

「(悪魔の呼び方、分かんねぇ…)」

『……はぁ?』

いや、そんな素っ頓狂な声出さないでくれよ。

「(今までって、あいつら急に現れたり、俺の感情が高ぶった時に現れたりしてたじゃん)」
『…あぁ、そうだな』

「(1回だって、俺の意思で呼び出した事無いんだよ)」

どうやって呼び出すのか、さっぱり分からん。

『ぶっ…ぎゃははは!お前…何年間、悪魔と生活してんだよ!今更過ぎて笑えてくるぜ!』

「(悪かったな、今更で。
 でも、仕方ないだろ?完全に生活の一部だったんだから)」

どうやって右手動かそう、みたいな、そんな感覚なんだよ、今。

『ったく…しゃーねーな…。
 呼び出し方なんざ、いろいろあるが…簡単なのは、カインの血を垂らす事だな』

「(血?)」

血って血液だよな?

『そう、お前の血だ。本来なら正式な陣に垂らすもんだが、カインなら床に垂らすだけで充分だろ』

ふーん。
とりあえず、血を垂らす…

え、刃物…って持ち歩いてないぞ、おい。

「(あ、スーパーの袋の中に何か…)」
すっかり忘れてたが、買い物後にここに来たんだった。
…肉、腐ってるだろうなぁ…。
この真夏日だし。

あ。
缶詰発見。

おぉ、コーン缶だ。しかもプルトップ式。

ペコと缶の蓋を取り外し、左手に当てる。

「(あ、手の平だと頭洗う時、痛いから…腕のが良いか?)」

腕の内側、一番手当てしやすいだろう位置に、蓋の鋭利な部分を押し当てた。

「(あとは横に)」


ザッ…


「(…っ。案外、痛かった…)」

「ちょっ!何やってはるんですか?!」


あ…?


左隣りにはさっきまで詠唱してたはずの眼鏡男児の姿。

「血!血!手当てせんと…!」

なんか凄いアタフタしてるけど…。

「(…詠唱…終わってる?)」

そして、なんで俺の心配?

『あ、さっき詠唱終了してたぞ』
「(先に言え!)」

俺、切り損?!
鈍い刃物って、痛いんだからな?!

「(…まぁ、トサカ不良は残ってる…が)」

未だ詠唱を続けているトサカ不良を横目に、ため息を一つ零した。


ポタリ ポタリ


「え?!…わわわ!!」

ん?
眼鏡男児、そんな慌てふためいてどうした?

『お前、目的忘れんなって』
「(?……ぉおお…)」
ゆっくりと振り返れば、俺の背後に、数え切れない悪魔がひしめいていた。


俺の血、すげぇ。


「(悪魔大量だなー。動物園のモルモットみたいになってるぞ)」

動物園のふれあい広場にいるモルモットの集団な。
まぁ…こいつらはそんな可愛いもんじゃないけど。

『…悪魔の威厳が、木っ端みじんだ…』

あれ?サタン?なんで、意気消沈?

「(…まぁいいか…。さてと、これで…)」

邪魔できる。

「(レッツゴー♪)」

カインの掛け声に、悪魔達はぶわりと部屋中に飛び散った。

「な、何なの?!」
「…冗談キツイで…ホンマ!」

ツインテールとピンク頭の驚嘆の声に、俺はにんまりと口角を上げた。

あー!場を乱すのって、楽しいー♪

「…稲荷神に恐み恐み白す 為す所の願いとして成就せずということなし!」


…何?


「私に従えっ!!」


…女の子の怒声って…


怖い…




―あとがき―
悪魔の呼び出し方が分からないとか!
私も分からないよ!w

そしてやり切りました。
青主すぐぇ(笑)




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