長編 
18

無事に立っているのは俺と奥村燐だけ。

…やっぱり、フラグか…?


青と灰
Part18


「あんた平気なの?!」
ツインテールの発言に、“こいつらケンカ中だった”とため息を吐いた。

どうやら、キモが出した体液は人には毒だったらしい。
一滴もかからなかった俺は全くの無事で。

…まぁ、かかっても無事だったんだろうが…。

悪魔の血を継いている奥村燐もピンピンしているし。

「(…つか、この状態、さすがに逃げきれないよな…)」
『お前まだ逃げようと思ってたのか…』
「(隙さえあれば)」

目の端で奥村燐が前に歩み出たのを捉らえ、俺は小さく首を傾げる。

「(あいつ、何やってんの?)」
『戦うんじゃねーか?』

「(え?戦う?あんなキモいのと?!)」

『お前の基準は相変わらずズレてるな…』
「(?)」


「俺が外に出て囮になる」

は…?囮?
奥村燐から出た言葉に思わずに目を見開いた。
サタン、マジで言ってたのかよ。

無理だって。
あのキモと戦うなんて…。

「二匹ともうまく俺について来たら何とか逃げろ」

『ぎゃははは!男前じゃねーか!なぁカイン!』

「(…同意求めんなし)」

何がそんなに面白かったのか分からないが、サタンはどこか自慢げに笑っていた。

そうこうしている間に、奥村燐は木の隙間から外に出ていってしまった。

「…なんて奴や…」
「結局一匹残ってますけどね…」

京都弁の二人がそう言葉を交わして、残った一匹をどう倒すかの算段を始めた。

「(なぁサタン、あの木の隙間から逃げられるかな…?)」
奥村燐は通っていったし…。
『カイン、お前あれに近づけるのか?』

あのキモの傍を通って逃げる…

「(…。うん、無理だな)」

じゃぁー、とりあえず大人しく待ちますか。
逃げ出せる瞬間を。

「ちょっと、ま、待ちなさいよ!詠唱始めたら集中的に狙われるわよ!」
ツインテールの子の声が、キンと耳に入った。
エイショウ?って何だ?

『詠唱。悪魔を殺す致死節ってのを唱える事だ』
「(悪魔を殺す?!そんなヤバい技をこいつら覚えてるのか…?)」

なんて事だ…。
言うだけで殺せるとか…!

『まぁ、きっちり唱えないと効果はねぇけどな』
「(…ほー)」
…そういうもんなのか。

「女がこないになっとって男がボケェーッとしとられへんやろ!」
トサカ不良の怒鳴り声に、はっと意識を戻された。

「(ぉお、男前だな、トサカ不良)」

トサカ不良の横では、ピンク頭が杖を組立てていた。
…あ、錫杖か。

「いざとなったら援護します」
「仕込んどったんか?」

仕込み杖。
いつでも戦えるようにするためか…。

「(凄いな…)」

トサカ不良と眼鏡男児はいつの間にかエイショウとやらを始めていて、ピンク頭は錫杖を構えてキモに意識を張っている。



…あー…。


ヤバい。



「(…この雰囲気、ぶち壊してぇ…。
 すっげー邪魔してぇ…)」


『ぎゃはは!やってみりゃ良いじゃねぇか!悪魔達を大量に呼びゃぁ、一発だぜ?』

「(…あ…そうか…)」

にやりと口元を歪めた俺に、多分今、黒い羽根と尖んがり尻尾が生えたと思う。


別に悪魔になるつもりは無いけどな。


さぁて。どうしようか。





―あとがき―
主人公が悪に目覚めた!

というか、管理人…オロオロしてます。
シリアスにさせる予定が…!(汗)





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