長編 
19-四次試験

始まった。
誰かを刈るゲームが。


Euphorbia milii
―四次試験―


三番目に森に入ったのは良いとして。
誰だったかなぁ…この番号…。

入口付近の木の上で、カインは80番の札を手にガックリと肩を落とす。

ゴン達には嘘ついたけど、実はターゲットの目星なんてついてない…。

適当に3人狩ろうかなぁ。

…ん?
あ、そっか。

「向かってくる奴を狩るのもありか」

背後に気配。
隠してるけど、分かるよ?
だって、俺はずっと死と隣り合わせを走ってきんだから。
そ。歩くんじゃなくて走ってきたんだ。

これは、殺気。

あと5メートル。









振り上げられたナイフ
振り下ろされる腕
肉を切り裂く刃
笑みを作る頬

「ふふ、馬鹿だよねぇ」
「っ!」

崩れ落ちる襲撃者とその背後の木に立ったカイン。
その手にナイフを握り、緩やかに微笑んでいる。
襲撃者の横腹は血だらけで、カインが切り裂いたものだと分かる。
「俺に気づかれずに殺せると思ってたのかな?」

カインは手の内でナイフを弄びながら、そう問うが、おそらく答は求めていない。

「あぁ。急所は外してあるし、死なないから、安心して良いよ」
「くそ…」
「さて、交換条件だ。殺さない変わりに、札、頂戴?」

にんまりと微笑むカインの言葉は完全なる脅し。
襲撃者は少し考えた後、ポケットから札を取り出し、カインに投げた。

「ふふ、賢明だね」

89番…
惜しいなぁ。

「やっぱりそう上手くはいかないか」

まぁ、もらっておくに越したことはない。

札をポケットに突っ込み、襲撃者に顔を向ける。

「残り時間、生きる事に執着することだね」

瞬間、カインはその場から消え去り、何事も無かったかのように木々が揺らいでいた。

男は呆然と、何もない空間を見つめるのだった。





Dearネテロ会長

この島、人が居すぎです。







―あとがき―
まさかの会長落ち。
詳細は次の回に。

89番、キャラ設定が分からなかったので、適当に。

[*前のお話へ][次のお話へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!