長編 
15-一般人と

目を覚ませば、周りは人の気配で溢れていた。


Euphorbia milii
―一般人と―


「…、ふぁ…」
欠伸を一つし、カインは辺りを見回した。

「人口密度が増したなぁ…」

「うわ?!」
「何だこいつ…!」
「こんなとこに人が…?」

ん?
何だ?この顔の似た三人組。
兄弟か?

カインの目の前にいた彼らは、カインの存在に全く気づいていなかったらしく、目を丸くし、カインを凝視していた。

「あんた、いったいどこから沸いた…?」
体格が一番良い男が聞いてきて、カインは地味にため息を吐いた。

「俺は沸かないよ。三番目に降りてきて、ずーと、ここで寝てたから」
「「「…」」」

うわー、めっちゃ怪しんでる。
しかし、顔似てんな。

「君達…兄弟?」
「…あぁ、そうだ」

ふぅん…。一人の力でなく三人の力で、か。

三本の矢は折れない。
だが折れる時もある!
みたいな。
…うろ覚えすぎるけど、こんな台詞だったよな。確か…。

アクエリオン…懐かしいな。
トウマの銀髪…白髪?がシルバと似てて好きだったなぁ。

「おい」
「ん?」

なんだい?(多分)長男君。
人が思い出に浸ってるのに。

「あんた、名前は?」
「俺はカイン。自由をこよなく愛する一般人です♪」
「普通の人間は一般人とか言わねーよ」

こいつっ!
プリンセスプリンセス読んでたなっ?!
坂本様の“一般人”発言に河野がツッコミを入れたあの…(強制終了)

「あんた面白いな。俺はアモリ。こっちは弟のウモリとイモリだ」

(多分)長男君はやっぱり長男君だったらしい。
体格の良い方がウモリ、細く小さいのがイモリね。

「カインはハンター試験初めてか?」
「うん、初めてだよ。君達もかな?」
「あぁ、まぁな」

長男君…アモリは社交的な性格らしく、カインとの会話も弾んでいった。


「カインって兄弟いるだろ。しかも弟」
「あ?うん、いるけど。…何で分かった?」
「なんとなくな」
「感かよ」
そう言って笑いあう二人は、仲の良い友達にしか見えない。

悪くないな。こういうのも。
アモリって見るからに一般人で弱そうだけど。

「試験、弟は一緒に受けてないのか?」
「ん。弟は、多分…持ってるし」
「は?なんだよ、多分って。仲悪いのか?」

シルバ…あの歳だからな。必要になったら取るだろうし。
そういや、ろくに会話してないなぁ…。

「仲は良いよ。溺愛してる。ただ、ちょっと離れてる期間があったからさ」
「ふーん…。いろいろあったんだな、お前も…」
「うん。いろいろね」
「しかし、“多分持ってる”とか、すげー発言してるけど、お前の弟、強いのか?」

強いのか?そんなの決まってる。

カインの唇が、ゆっくりと弧を描いた。

「ふふ、強いよ。ここにいる人間の誰よりも」
「…強気、だな」
「もち。弟は、俺より強くなってるはずだからな」

30年の歳月は、それ程に大きいものだ。

「…カインも強いのか」
「おう!そこら辺にいる輩には負けないぜ?」
ニカッと笑うカインに、アモリはふっと息を吐いた。
「カインは、良い兄貴やってるみたいだな」
「良いかはわかんないけどね。家族は大好きだよ」


あ…


「どうした?急に唖然として」
「あー…うん。なんか、スッキリしちゃった」
「?」

キルアがシルバの息子だろうと、家族なことに変わりはない。
つまり、俺は家族として、キルアに接すれば良いだけ。
迷う必要なんて、これっぽっちも無かったんだ。

「ちょっと悩み事があったんだけど、ね。今、解決した」
「?そりゃ、良かったな」

「うん。サンキューな。お互い、試験受かるように頑張ろうぜ」
「あぁ!」





Dear キルア
まだ、お前に言うつもりはさらさらに無いけど…

愛してるぜ?

我が家族よ。
俺は、お前を家族として見守ることにする。





―あとがき―
ふへー(何)
カインの悩み解決。
本当はイルミのターンで解決したかったんだけど。
イルミの奴、動かないからさ…(涙)


↓作中使用
創聖のアクエリオン
プリンセスプリンセス←知ってる人いる?



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あきゅろす。
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