長編 
14-ヒソカ

「やぁ◇遅かったね☆」

ピエロが出迎えるなんて聞いてねぇよ。


Euphorbia milii
―ヒソカ―


とりあえず、逃げ…っ

「君、前に目があったよね?◆名前、教えてくれないかい?」

捕まったぁぁぁ!!

背中越しにガッチリ肩を掴まれ、カインは人形の様にギギギと首だけを振り返った。そこにはにこやかな笑顔をしたヒソカが佇んでいる。

…不気味過ぎ。

「僕はヒソカ◇君は?」
「…カイン、だけど」
「カイン、カインか。うん、良い名前だね◆」
ようやく肩から手を離したヒソカに、カインはホッと息を吐く。

しかし、褒められても嬉しくない…。
…んー?何か肩に貼っついてる?

「肩のこれ、とれよ」
「ヤダ★」

「……」
「…◆」

カインの周りの温度が一瞬下がった。

…落ち着けー、俺。
変態に関わるなかれ。だ。
面倒な客には、冷静な対象を迅速に。サービス業の基本だな。

…こいつ、客じゃないけど。

「何をしたら、とってくれるのかな?」
「…君とはすぐにでも戦いたいけど、ここじゃ思う存分殺れないからね◆」

蛇に睨まれたカエル。ただし、カエルは井戸の中!みたいな?

「ゲームでもするかい?◇」
「は?」


というわけで。


「だから、インチキすんなって!」
「やだな★カインが弱いだけだろ?」
「ババ抜きで一回も勝てないって、ありえないだろーがっ!」
「カタカタカタカタ…」

なぜかヒソカ、イルミ、俺、3人でババ抜き大会。
俺は全敗、ヒソカが全勝、イルミが真ん中で上がるというのを20回繰り返した所だ。

「うぁ!また負けたっ…」
「ホントに弱いね◆」
「うるっせ!」
「カタカタカタカタ…」

くそーくそー!

「ババ抜きじゃないのを所望!!」
「ジジ抜き?」
その問いに、イルミをギッと睨みつける。
「抜き系じゃないやつ!」
「ダウトでもやるかい?◇」
「おぅ!」





数分後

「ダウト◇」
「げ」

未だに全敗を喫しているカイン。

あー…。
基本的にヒソカは表情を変えないし、イルミなんて変わらないじゃんかっ!
ダウトのタイミング分かんねぇっての!!

「分かりやすいね、カインは◆」
「お前らが分かりにくいだけだろ…」
悔しい…悔しいけど…!

すくっと立ち上がったカインに、ヒソカとイルミは『?』を浮かべる。

「俺の負けだ。…というわけで、休む。起こすなよ」
「逃げるのかい?◆」
「そ。敵前逃亡」
にんまりと笑みを作り、二人に背を向けた。
残念そうにヒソカはその背を見送り、目にオーラを集めた。

「(やっぱり…◇僕のバンジーガム、剥がされちゃってるや◆)」

カインの肩に貼付けたヒソカの念は凍ったように伸縮もしない。
徐念ではない。だが、特殊な力であることは確か。

「(戦いたいなぁ◆…でも、もう少し熟してから…)クックックッ…★」
気味の悪い笑みを浮かべるヒソカの横で、イルミもカインの力を見定めていた。
「(念を凍らせた…?カインのオーラが動いた気配はなかった。…俺が考えるより、面倒な相手かもしれない…)」

二人の思考を知らないのは幸か不幸か。
カインは気にするわけもなく、真っすぐに二人から離れた。


上手くいった…。
《冬の訪れ(ブリザード)》は念も凍らせる事ができるから、できるとは思ったけど。
…時間かかりすぎだな。

トランプをしている間、ずっと肩にオーラを集中させていたカイン。
隠で隠しながらの作業は骨が折れた。

この能力はあんまり見せたくないからな。隠さないと。

せっかく一般人(?)のゴン達と知り合いになれたのに…。
ヒソカ&針男とトランプ。
果てしなく嬉しくない。

でも、ま…。
幸いなことに、まだ降りてきている人数は少ないし。

ヒソカ、イルミ、カイン。
そして。
ちらりと覗き見た先には、坊主頭の男。

えと、名前…なんだっけ?

…。
……。

………ハゲゾー?だったかな?

ま、一人なら大丈夫だろ!
俺まで変人には見られないよな!


よし、寝よ。


カインはヒソカからなるべく距離をとり、壁に寄り掛かった。
背負っていた刀を手に持ち、抱えこむようにすると、目を閉じる。

「おやすみ」





Dear ゴン・キルア・クラピカ・レオリオ
そっちの試験はどう?
俺の方は終わっちゃったよ。
凄い簡単な道でさ。特に苦もなく一階まで来たし…。
早く来いよ。みんなが来ないとつまらないぜ?




―あとがき―
ヒソカのターン。と見せかけて。結局、主人公組に思いをはせるカイン。
キルアへの気まずさがいつの間にか消えてたり。こいつ、あとで焦るんだろうな…。


↓作中使用
戯言シリーズ…使い過ぎか。





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