長編 
12-三次試験

72時間以内に塔から脱出すること。
それが第三次試験。


Euphorbia milii
―三次試験―


「カイン、何ボサッとしてんだよ。塔を降りる方法さがそーぜ」
「あ、うん」
キルアに声をかけられ、カインは内心滝のような冷や汗をかいていた。

まずい…。
シルバの息子だって思ったら、やりづらい…。どうしよ…。

「カイン!」
「今、行…」

ガコン

「え」

急に抜けた足元を確認することなど出来はせず、カインは垂直に落ちていく。
ゴンとキルアの驚いた顔がスローモーションで見えた。

…落ちてる?!

カインは瞬時にオーラを足に集め、衝撃に備えた。


スタッ…

思った以上に近くにあった足元に、カインは頭を掻く。

…案外近いな、足元。

「えーと、ここは?」

キョロキョロとあたりを見回すと、紙が一枚壁に貼られていた。
その下には台の上に二つの腕輪が置かれている。

「んー?何々?」


――共存の道。
これから待ち受ける罠などを二人でクリアすること。
片方が脱落すると塔を脱出できないので、お互いを助け合う事が必要。
下の台に置かれている腕輪を着けて進め。


「え、説明これだけ?」
カインのツッコミに、ブツっという音と共にどこからかアナウンスが入る。

『ようこそ。共存の道へ。そこは二人一組で進む道だ。
 台に乗ってる腕輪をつけて進みたまえ。
 ただし、扉は二人揃わないと開かない。相棒となる者が現れるまで、今は待つのみだ』

「…了解です」

腕輪を着けながら、カインは考える。

相棒となる者、ね。
あー、出来れば喋れる奴が良いなぁ。
でも無力なのもヤダなぁ…。

そこまで考え、ふと青い髪のピエロが頭を過ぎった。

………ヒソカはもっと嫌だ…。
…うん、高望みはしない。
ヒソカさえ来なけりゃ良い!それ以上は願わないぞ!
たとえ、ザンザスとかスクアーロとか、頭の弱そうなのが来ても、文句は言わないから!(酷)


ズズ…
天井の方で地味に響いた音は、数秒止んだあと、一枚の石版が動いた。

来たか。
さぁて、馬鹿がくるか、鮫が来るか。←


「…カタカタカタカタ…」

は、は、針!!

「カイン?」
「え、あ、はい。ギタラクルさんでしたなっ」
語尾がおかしい事にも気づかないほど、カインはテンパっていた。

何度見ても気味悪いよ!

「ふーん…共存の道ね…」

壁の貼紙を見ながらそう呟いたギタラクルは、自身の腕に腕輪をつけた。
すると、すぐに扉が開き、その先には真っ暗な道が現れた。

「行くよ」
「あ、うん」

先を歩くギタラクルの後ろに着いて、カインも歩きはじめた。







うん、あのさ…。
…気まずい…。
ものすっごい気まずいっ!

無言のまま、既に2時間が過ぎていた。

罠とか軽く抜けてくれて、無駄な動きがない分、すっごく楽なんだけどさ…。
これ以上の無言は無理…!

「あのー、ギタラクル?」
「…イルミ」
「へ?」
首を傾げたカインに、ギタラクルはようやく視線を向けた。
「二人の時はイルミで良い」
「………イルミ?」
「何?」
「無言が辛くなったので、少し喋りませんか」
「喋れば?」

お前は鬼かっ!!

二人の間に微妙に亀裂の入った一瞬だった。

「…。えーと…その、顔の針、痛くないの?」
「何で?」
「動かした筋肉を針で止めてるだろ。誰から隠したいのかは知らないけど、俺じゃないのは確かだし…。今は外しても良いんじゃないか……と思った次第で」
「…。そうだね」

イルミはそう一言漏らすと、顔の針を一本一本抜きはじめた。
次第に顔の形は変形し、針で止めていた時とはまるで別人の…黒い長髪の人形のような男が姿を表した。

「ふぅ…」
「別人やんっ!」
あまりの変わりように、カインは思わず手の平をイルミに打ち付けた。

…はっ!し、しまったぁぁぁ!!
つ、つ、つい、ツッコミを入れてしまった!!

冷や汗をかくカインの手は宙を漂い、逝く宛てが決まらないまま数秒が流れた。

「…」
「…ごめんなさい?」
「なんで謝るの?」
「あ、いや…」

イルミは変装前と変わらず、よく分からない…。
うーん。変装解けば少しは表情が出るかと思ったのになぁ…。

口には出さず、カインは人知れず肩を落とした。



イルミはそんなカインを黒い瞳でじっと見つめていた。

「(カイン、銀髪の男。
実力はまだ不明。
ただ…俺に攻撃を加えられるくらい強い。
あの平手打ち、動きが見えなかった。

殺気は本物。つまりは、ヒソカと同じくらいの要注意人物。

多分、同業者)」




Dear シルバ
ただ今、三次試験中。
針男は…針を抜いたら人形のような男に変わって、いろいろと焦った…。
シルバ、人間って神秘だな。(違)





―あとがき―
イルミと接触。
ゾル家好きなんだよーっ(今更)
他の受験者出てこねぇしっ!私しっかりしろ!


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あきゅろす。
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