長編 


逃げたって同じクラスじゃん!
…と、気づいたのは、今さっき。


青と灰
Part7


「(戻りづらい…)」
『ああ?無視しときゃ良いじゃねーか』
「(そう出来れば良い…、…良い、か)」
うん、なんかストンと心が整った感じ。

『ぎゃははは!お前は本当に面白いなぁ!』
「(何がー?)」
『人間らしくねぇ』
「(人間だっつの)」

勝手なことぬかして。全く。

「(で。サタン?)」
『あ?』

さっきから気になってるんだよ。

「(奥村燐が悪魔って、本当?)」

『半分な』
「(その“半分”って何?)」
『悪魔と人間のハーフ』
「(え、そういうのって有り?!)」
『あぁ。普通に』

そうだったんだー。知らなかった。
でもさ。

「(あの新入生代表くんは奥村燐のこと、“兄さん”って言ってたけど…)」
『弟だからな』

普通に弟!てことは、新入生代表くんも悪魔とのハーフか!

「(そうなんだー。スッキリ!)」
『実は興味ねーだろ?』
「(あはは、まさかまさか)」
俺の傍でウロウロしてる子を一匹捕まえて、腕に収める。
「(ただ、この子達が殺気向けてなかったなぁーって。彼も悪魔だからなんだな)」
俺の台詞に、サタンはまたニタニタと笑みを込めたように笑い、
『ま。そういうことにしとくか』
と呟いた。
「(意味深だなー。でも、もう良いや。俺には関係ないし)」

グリグリと腕の中の悪魔の頭を撫でる。
相変わらずの不思議な手触り。

結構痛かったのか、その子は頭をこっちに向けて、がぶりと俺の手を噛んだ。

「(…。…わぁ)」

『感情薄っ!』

「(いやいや、十二分に驚いてるぞ。噛まれたのは初めてだし)」
『ぎゃはは!にしては、随分余裕じゃねーか』
「(まぁ、人間驚き過ぎると感情が追いつかないもんだよ)」

まじでな。
どうして良いか分からんのだよ。

「(しかもこの子、しっかり噛み締めてるし)」
地味に痛い気がするよ。
痛みとかは感じないけど。

あ、痛みがないってことは、ケガとかしてないってことか?

「(ま、ケガしないなら良いか)」
『ケッ、特異体質め』

これは、俺の体質のせいなのか?
噛まれてるのに…。

しかし、どうやって引き離すかなぁ…。

「(…あ)」

目に入ったのは、他の悪魔達が噛んでる子の体を掴んで引っ張り始めたという事実。

「(地味に引っ張られてる感はある)」
本当に少しだけどな。
『ククク、あー、そろそろヤバいな』
「(え?何が?)」
『噛んでるの、他の悪魔の機嫌損ねたんだよ。お前を攻撃したからなぁ』

“悪魔達はお前が好きでたまらない”

…俺と親しくするものは、必ず殺される。

「(悪魔同士ても、そういうのあるんだな)」
いつもみんなワラワラしてるのに。

『魔障も傷もつかないとはいえ、攻撃したんだ。当たり前だろ?』

当たり前、ね。
いやはや。俺、愛されてる!

「(帰りにチョコ買おう)」
『は?』
「(幸せな気持ちの時に食べるチョコは、格別だろ?
 甘いものは世界を笑顔にさせるんだ)」

素晴らしい食べ物じゃないか。

『ぎゃはは!悪魔に笑顔か!』
「(何言ってんの。今、サタンも笑ってんじゃん)」
『は、………』
「(…いや、考えこまれても!!)」
うーん、と考え込んだサタンの答えを待つ。

『カイン…チョコってウマイのか?』

「激ウマ」

個人的には板チョコの丸かじりとか、幸せすぎると思う。

『買ったら寄越せ』
「(お〜!!)」

サタンがチョコに目覚めた!

って、サタン、体ないじゃん!!




―あとがき―
まさかのチョコ落ち。
管理人すら予想しない落ちに、びっくり中。

手、噛まれたままだ…。





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あきゅろす。
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