長編 



あまりにも暇過ぎて、俺、ただ今屋上で休憩中です。


―青と灰―
Part4


「ぉ?」
寝転がってぼんやりと空を眺めてたら、何かが入ってくる、そんな感覚にピクリと体が反応した。
けして、イヤラシイ意味ではなく。

『よう。久しぶりだなぁ?』
「(!!サタンだぁ〜!!)」
久しぶりの再開に、思わず起き上がり、歓喜の声を心の中で上げてしまった。
体現するなら、サタンにタックルかましたろうな。って感じ。

『あぁ?どうした?やけに素直じゃねーか』
「(俺はいつでも大袈裟なくらい素直だよ(笑))」
『自分で(笑)って付けてる時点で、絶対思ってないだろうが!』

久々の楽なやり取りに顔がにやける。

『…で?久々の悪魔のいねぇ生活はどうだったよ?』
「(超暇)」
即答したら、サタンがぎゃははと笑う。
『相変わらずの変人ぶりだなぁ』
「(そういうサタンは変態?)」
『阿保か!』

にんまりと笑みを浮かべ、よくよく周りを見てみれば、悪魔達の姿。

「(やっぱりいたんだな)」
いつも傍にいるこいつらの頭を撫でる。
人とも獣とも違う、不思議な肌触り。

『こいつらはお前の血を飲んでるからな』
「(あ?どういうこと?)」

『この学校、悪魔対策の結界が張ってある。普通の悪魔は入ってこれないってことだ』

「(??)」

『そいつらは、お前と血の契約を済ましてあるって括りで、お前の傍を自由に行き来できんだよ』

「(んー?よくわかんねぇけど、スゲーな)」
『まぁ、そいつらはいつでもお前と一緒だってことだ。安心しろ』

サタンはたまに悪魔らしくない言葉を言う。
それがまた、面白いんだけど。


「(あ。青い鳥…)」

屋上の柵の上には青い小鳥が羽を休めており、ぼんやりと眺めた。

そういえば、童話で読んだことあるなぁ。青い鳥。

「(なぁ、サタン、知ってるか?童話の青い鳥)」
『あ?なんだそりゃ』
小さな頃読んだ絵本を思い出しながら、カインは口を開く。

「(貧しい家に育った兄妹チルチルとミチルは、幸福を招くという青い鳥を求めていろいろな国に旅に出かけます。
しかし、どこにいっても青い鳥を捕まえることができません。
結果的に、二人は諦めて家に帰りました。
疲れ果てていた兄妹は眠りにつき、夢から覚めると、なんと家で飼っていた薄汚れたハトが青い鳥になったのです…。
要約するとこんな感じ)」

『…それがなんなんだ?』

「(青い鳥は、実は家にいた。
幸福は案外自分の近くに転がってるって話だよ)」

『青い鳥ねぇ』
サタンのニヤニヤした声をバックに、小鳥の傍に近寄る。

「(この子、逃げないね)」
不思議そうにこちらを見つめる小鳥に、手を伸ばす。

「おいで」

人慣れしているのだろう。
手の上に飛び乗った小鳥は、ピィピィと可愛らしい鳴き声を発した。

「(可愛い)」

俺が満足げに微笑んだ瞬間、サタンの含み笑いが耳を掠めた。

途端、ボッと、手の上の小鳥が炎を発して燃え上がった。

「!」

勢いよく燃えている鳥だったものが、灰になっていく。

「(…あーあ。また、か)」

悪魔達の嫉妬から燃やされた鳥。
俺が何かに触れると、すぐこれだ。

『学習能力のねー奴』
「(だって、可愛かったし)」

野良犬も野良猫も鳥も昆虫も、触れば死ぬ。

あの黒い触角を持ったGなら、触れなくても燃やしてほしいけどさ。

しかしまぁ、ちょっと触れただけ、心が1°傾いただけで相手を殺すって…まったく。

「お前ら学習能力なさすぎ」

柵を背に、悪魔達にサタンから言われた言葉をそのまま下ろした。

『顔、ニヤけてるぞ』
「(うるっせ)」

不謹慎にも、俺愛されてる!とか思っちゃったんだもん。
しゃーないじゃん!


「(…あ。俺にとっての青い鳥は、こいつらかもな)」

俺の傍にいて、でも、今まで俺はそう思ってなかった。

『あ?俺は?』
「(え?)」
わざとらしく声を上げてやれば、しおしおと演技をしだす、サタン。
『俺様、超傷ついた〜』
「(あははー、嘘つけよー)」
『棒読みじゃねーかっ!しかも、マジで入ってないのかよ!おい!』
「(ははっ!まさかぁ!サタンは青い鳥よりかはチルチルだな。俺、ミチルな)」

まさかの兄弟だぜ!

『この俺が青い鳥を探すのか?!』

あれ?
そっち?

「(兄弟設定なのにー。嬉しくないのかよー)」
『…。いや、まぁ…嬉しいけどよ』

「…ぷっ」

デレた、魔神がデレた!

『てめぇ…!』
「ははっ…」

やっぱりサタンは面白い♪

『…おら、もう鐘が鳴るぜ』
「(ん。了解。じゃ、教室戻るわ)」

俺は鼻歌混じりに階段を下りていく。

あり?
そういえば、何でサタンは鐘の鳴る時間がわかったんだ?

…まぁ、いっか。







―あとがき―
サタン様、舞い戻り。
そろそろ若君と関わらせたい。

ちなみに、アニメ版しか見てないので、サタン様の口調は、適当です(笑)

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あきゅろす。
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