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parallelu
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こうして今に至る。
むしゃくしゃに捜し回ると体力が奪われる。
落ち着いて探そう。
そう思った俺は一歩歩き出す。
すると何処からか声がしてきた。
誰だっ!???
”死の森”に誰かがいる……。
確かめないと………。
すぐに護身用ナイフを取り出す。
そしてそっと声がするほうに歩きだす。
すると光が漏れているところに人影がいる……。
見えない………。
でもその声からだと男性だと分かる。
俺は気配を消し、そっと歩き出す。
相手は気付いてないようだ。
その調子で近づこう……と思ったが

「………誰だ。俺になんか用だ。」

っ!???
何故分かったんだ。
俺はこう見えても気配を消すのが得意だ。
それを見破るとは一体、何者だ。

「………姿を現さないみたいだな。なら、俺がそっちへ行く。」

えっ………。

そう思った時には遅かった。

「見ーつけたぜ。ん………、子供だったのか……。」

なっ……。馬鹿な。
一瞬で俺のほうに現れた。
さっきまでは百メートルしか離れてないのにそれを一瞬で現れた???

「お前は何者だ!!!只者じゃないな。」

そう言い、ナイフを男性のほうに突き出す。

「やれやれ、これだから人間は………。」

男性はすぐに俺の背中に回り込み、ナイフを奪った。

なっ……。速すぎる。
気配もなかった。
それにさっき、これだから人間は………。って言ってた。
まさか、アレルヤが言ってた伝説の吸血鬼か。

「まさか吸血鬼か………???」

男性はびっくりしたか後ろを振り返りながら、ああ、そうだよ。とそう言う。

やっぱりな!!!なら退治するだけだ。

そう思ったがさっき、ナイフ奪われたし、なによりも速すぎる。気配を消してもすぐに見つけられる。
どうするべきか………。
殺すべきか逃げるべきか………。

「ふーん、お前って子供だけどハンターじゃん。」

男性はそう言い、前髪をかき分ける。

っ!!!
右目に眼帯している。
左目は………翡翠色の瞳をしていて俺はその瞳に思わず見惚れてしまう。

「………お前を殺さない。たとえ殺したとしても意味はないし。命は助けてやるから帰れ。俺が出口まで案内してやる。」

なんだと………????
殺さず帰れって………。
そんなのは俺のプライドが許せない。
それに帰ったとしてもどうせ吸血鬼を殺すばかりだ。
姉さんを殺した吸血鬼を知りたい。

「………帰らない。誰が帰るもんか。俺は………。」

男性ははあ………。と、溜め息をつき、困った表情をする。

「分かった。言っても無駄だしな。俺の館に来るか???」

なんだと………???
殺す相手に普通、館に来るかって言うのか。
余裕だな。

それを察知したか男性は

「勿論、俺を殺してもいい。その代わりに俺の餌となれ。それにお前は吸血鬼を殺す理由があるだろう。俺はすぐに分かる。憎悪とか憎しみとかそういうのがお前の瞳にある。」

それも分かるのか………。
侮れない奴だ。

「どうだ???俺は勿論、お前を殺さないし、血を吸うだけで餌の目的。お前は吸血鬼を捜す、俺を殺す。お前にとっていい話だと思うが………。」

………いいだろう。餌だとされるのは不本意だが仕方ない。
それに俺にとって一石二鳥だ。

「構わない。その取り引きを受ける。」

男性はニヤリとシニカルな笑みを見せ、

「OK。取り引き成立だな。俺はロックオン・ストラトスだ。お前は……???」

ロックオン・ストラトスか。
俺はコードネームを言うだけだ。

「………刹那・F・セイエイだ。」

「刹那な♪突然だが、お前の血を吸わせてもらう。契約だ。俺はお前の血を吸う代わりにお前の捜し相手を探すのを手伝おう。」

契約か。吸血鬼ってそういう契約あるんだな。
吸血鬼は吸血鬼同士だから俺よりも探すのが早いかもしれない。

そう思った俺はいいだろうと言う。

男性、いや、ロックオンは俺のほうに近寄る。

「………最初は痛いかもしれないが我慢しろよ??」

そう言い、俺の首筋に近づき、血を吸う。

「………っ!!!い………っ。」

なんだろうか。この感じ………。

痛いっていうのもあるが、血を吸われることによって感じてしまう。

俺は声を出さず、我慢していた。

じゅるるるるるるるるる…………!!!

何分経っただろうか………。
まだ俺の血を吸ってる。
早く終わって欲しい………。
そう思ったときに
ゴクンっていう音がした。
どうやら終わったようだ。

「………御馳走様。契約終えたから安心しろ。」

すぐにロックオンを殴りたかったが、急に立ち眩みをして倒れてしまう。

くっ、立てない。
身体が全く動かない。
血を吸われたからか………。
ああ、意識が遠くなってしまう………。
此処で倒れたら駄目なのに。
しかし頭でそう思っていても身体が言うことを聞いてくれない。
意識が持って行かれそうなときに

「大丈夫だ。血を吸われたせいか貧血を起こしてるだけだ。」

―プツン………。
視界がクリアになった………。

「…………もう逃げられない。俺からな……。」

その声は届かず、風の音と共に去った………。





この少年と永遠の命を持つ吸血鬼との出会いが運命の歯車によってはじまったのだった………。





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