カナヅチ
本心
「じゃ涼稀先輩、ありがとうございました!」
「先輩!じゃーまた明日!」
今日はあまり勉強が進まなかった。それもこれもやっちが邪魔してくるせいだ。
それでもあたしたちは一緒に帰る。方向が同じだから仕方なしに。
「やっち!なんで勉強の邪魔するの?」
「やー、別に邪魔してた訳じゃねぇけど」
シラを切るやっちに益々苛立つ。今更そんな嘘ついたって遅いし!
「とにかく明日は邪魔しないでよ!せっかく先輩が教えてくれるんだから!」
そう。あたしたちは図々しくも、明日も勉強を見てもらえることになった。
「あー、そんなにあの先輩がいいわけ?」
あたしが不機嫌になったからか、やっちも不機嫌そうに声を漏らした。
「やっちよりは何倍もいい!」
勢いもあってかそんなことを口走ってしまった。やっちよりは意外にも大ダメージを食らっていた。
「え……あ…」
やっちのショックな顔を見て少しだけあたしの気が晴れた。
「嘘うそ!じゃあまた明日ね!」
やっちに手を振り家に向かった。あたしはやっちの本心に全然気がつかなかった。
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