カナヅチ
やりたいこと
「進路は…まだ決めてない。そういうやっちは決まってるの?」
そういえばやっちの昔の夢はバスケの選手になることだった気がする。
今もまだ、その夢を追いかけているのかな。
「俺はもちろんバスケがしてぇ!バスケで飯食えるようになれたら嬉しいけど、今はただやりてぇことをしてぇ!」
やりたいこと……自分にはそれもなくて、今きっとあたしはつまらない人間なんだろうと思う。
何もないあたしは平々凡々と過ごしているのに、やっちは夢に向かって着々と進んでる。
夢もやりたいことも見つけてるやっちをあたしは羨ましく思った。
黙ってしまったあたしに、やっちは声をかける。
「まぁ、まだ1年なんだし将来のことは少しずつ決めてけばいいんだよ」
……うん。それもそうだよね。
今ここでぐだぐだ悩んでたってしょうがない。
やれること頑張ればいいんだ、とやっちの言葉に少し救われた。
「やっち、ありがとね」
普段は言わない言葉と態度にやっちは少し慌てた。
「……この借りは返せよ」
「今ちゃんとお礼言ったじゃん」
「そんなんじゃダメだ!お前借り1な!」
「借り1って何!?意味わかんないよ!」
「あー、もうお前うっせぇ!」
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