カナヅチ 親の心配 また少し暖かくなって緑が茂る頃、あたしは机にかじりついていた。 そう。入学してから初めてのテストが、あと1週間後に迫っていた。 ここんとこ部活ばっかりで全然勉強していないから、正直かなり焦る。この学校はテスト1週間前になったら部活は休みになり、午前授業が続く。 全然勉強が進まないから、部屋から出てリビングに向かった。 リビングにはお母さんがテレビを見ていた。あたしは冷蔵庫を開け、冷えたオレンジジュースをコップに注いだ。 「瑞葉、勉強はちゃんとできてるの?」 「…今は休憩中」 「しっかり勉強しなさいよ。将来がかかってるんだから。それに最近部活部活って…本当にテスト大丈夫なの?」 口煩い親に少し苛ついた。あたしの為に言ってくれてるのは分かってるんだけど、毎日聞くその科白に嫌気がさした。 「大丈夫だってば!」 使い終わったコップを流しに置いて言い放った。特に大丈夫だという確信はないけど、言ってしまった。 もうここにはいたくないと思い、急いで部屋に閉じ籠った。 [→] |