猶予1週間 触れるだけ 化学室の雰囲気は変わる。 がらっと静かな空気が漂う。 佐野くんはあたしの瞳を見つめて、逃がさない。 気付いたら、その綺麗な唇があたしに触れていた。 触れるだけのキスは甘くて優しくて、どこか色っぽい。 佐野くんは余裕だと思っていた。 けどあたしの肩を掴むその手は少し震えていて、あたしと一緒だと思った。 唇が離れたあとは照れくさくて、何も話さず佐野くんは化学室から出ていった。 あたしのことどう思っているのかな。 さっきしたキスの意味を知りたい。 嫌われてることはないよね、と今日の授業のまとめもせずに冷静に分析していた。 [←][→] |