猶予1週間 自己紹介 「今日から1週間、よろしくお願いします」 ここはあたしの母校の高校。 懐かしい校舎の匂いと雰囲気に飲まれそうになったけど、今はそんな場合じゃない。 黒板に書かれた日野あかりという文字。 生徒とあまり歳は離れてないけど、やっぱりはじめは緊張する。 あたしは今、実習生としてこの教卓の前に立っていた。 まだ実習は始まったばかりなのに、授業の予習とか生徒の名前とか覚えるのに必死。 先生って仕事は本当に大変。 こんなんで、これから1週間やっていけるのかな…… クラスに何人かは真面目じゃない生徒もやっぱりいて。 分かってはいたけど、小さく溜め息を吐いた。 「佐野ー、森川ー、お前ら自己紹介なんだから、ちゃんと話聞け!!」 担任の先生が2人の男の子の名前を呼ぶと、伏せていた頭を上げた。 [→] |